ISBN 9784065282991

ゼロからわかる量子コンピュータ

ゼロからわかる量子コンピュータ
著者
小林 雅一
出版社
講談社
刊行
2022-06

概要

量子コンピュータの原理・産業応用・社会的影響を多角的に検証する

想定読者

量子コンピュータに関心があるが専門知識のない社会人・ビジネスパーソン。技術動向や産業インパクトを俯瞰的に把握したい人。

こんな人には向いていない

  • 量子力学や線形代数の数学的詳細を追いたい人には記述の深さが不足する
  • 量子アルゴリズムを実装・プログラミングするための実践的スキルを習得したい人には向かない
  • 量子情報科学の基礎をすでに学んだ人には周知の内容が中心になる

読了後にできるようになること

  • 量子ビットの基本原理と古典コンピュータとの計算モデルの違いを説明できる
  • IBM・Google・Microsoft・Amazonなど主要プレイヤーの開発戦略と各社の技術路線の違いを把握できる
  • 自動車・金融・化学・製薬・物流など各産業分野での量子コンピュータの応用シナリオを整理できる
  • 現行の公開鍵暗号が量子コンピュータによって危殆化するリスクと耐量子暗号導入の背景を理解できる
  • 量子コンピュータの汎用性の限界と、適用可能なアルゴリズムが存在する問題にしか使えない理由を説明できる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 巨額の投資対象に変貌した科学の楽園 — 量子コンピュータとは何か — ビジネス動向・経済安全保障・各社の開発競争を概観する章。産業文脈を先に掴みたい人はここから読み始めると全体像が定まりやすい
  • 第 2 章 現実離れした量子コンピュータのしくみ — 謎の超高速計算機はどう動いているのか — 量子力学の原理と量子ビットの作り方を扱う理論章。難度が上がるが、第3章を読むための下地として必要最低限の説明にとどまっている
  • 第 3 章 量子コンピュータは世界をどう変えるのか — 産業別の応用シナリオと暗号を巡る地政学的競争を扱う。実務的な関心がある読者にとって読み応えが最も高い章

ハイライト

  • 量子コンピュータの基本的な原理から産業的側面、さらには社会・政治的インパクトに至るまで、多面的な事実を積み上げ考察を加えることにより、その際どい実現可能性を検証していくのが本当の狙いである。(著者が本書の立ち位置を明確に述べた箇所。肯定でも否定でもなく検証する姿勢が本書の独自性を示している)
  • いま世界各国では、既存のスーパーコンピュータを遥かに凌ぐとされる量子コンピュータの大規模な開発プロジェクトが進み始めている。(本書が扱う背景の規模感を示す導入部。経済安全保障との接点を意識した読者の関心を捉える)

外部からの言及

  • booklog のレビュー(63件、平均 3.41/5)では、第1章と第3章の産業・社会的インパクトの解説を評価する声が多い一方、第2章の量子力学理論部分は物理的直感をつかむ難しさがあるとする指摘が複数見られる(other)

編集メモ

Qiita 引用 0件 / Rakuten ランキング情報なし。booklog に 63件のレビューと 270件の棚登録があるが、技術コミュニティでの直接言及は確認できなかった。量子コンピュータ入門分野の補完的な選択肢として位置づける。

読む前に押さえておきたいこと

  • 特定の技術的前提知識は不要。高校物理程度の素養があると第2章の理解が進みやすいが、なくても読み通せる構成になっている
  • ビッグテック各社(IBM・Google・Microsoft・Amazon)の事業領域についての基本的な理解があると第1章がより立体的に読める

学習のコツ

  • 第1章から順に読むと産業・政策の文脈が先に入り、第2章の理論説明の位置づけが明確になる。理論が難しく感じた場合は第3章に進んで応用イメージを掴んだ後で第2章に戻るのも有効
  • 第2章の量子ビット・量子ゲートの説明は本書単独では深さが不十分な部分もある。数学的な詳細が必要なら並行して量子情報科学の入門書を参照することを検討する
  • 暗号分野(耐量子暗号・PQC)への関心がある読者は、第3章の暗号セクションを中心に読み、専門的な資料へのブリッジとして活用できる
出版社による内容紹介

■■■■■■■■■■■■■■■ 経済安全保障の最優先課題 「量子コンピュータ」について わかりやすく解説した入門書! ■■■■■■■■■■■■■■■ 自動車・金融・化学・製薬・物流 メタバース・AI…… 量子コンピュータは 世界をどう変えるのか? ■■■■■■■■■■■■■■■ いま世界各国では、既存のスーパーコンピュータを 遥かに凌ぐとされる「量子コンピュータ」の 大規模な開発プロジェクトが進み始めている。 本書はそれを無条件に肯定したり、あるいは 逆に頭ごなしに否定するといった内容ではない。 量子コンピュータの基本的な原理から産業的側面、 さらには社会・政治的インパクトに至るまで、 多面的な事実を積み上げ考察を加えることにより、 その際どい実現可能性を検証していくのが 本当の狙いである。 はたして「夢の超高速計算機」は 本当に実現するのかーー。 ■■■■■■■■■■■■■■■ IBM,グーグル、 マイクロソフト、アマゾン…… ビッグテック参入のウラで 報じられていない実態とは? ■■■■■■■■■■■■■■■ ・・・本書のおもな内容・・・ 第1章 巨額の投資対象に変貌した「科学の楽園」 ーー量子コンピュータとは何か 「経済安全保障」の最優先課題 これから高まる“量子人材”の必要性 2023年が実用化へのターニングポイント グーグルvs.IBMの激しい応酬 別路線を歩むマイクロソフトの意図 猛追するアマゾンの焦り ほか 第2章 現実離れした「量子コンピュータ」のしくみ ーー謎の超高速計算機はどう動いているのか 量子力学の基本法則 全知全能の神ですらわからない「真の不確実性」 量子ビットの作り方 量子コンピュータ開発の技術的難題 量子コンピュータ=汎用性が高いとは言えない理由 巡回セールスマン問題は解けるのか? 「P≠NP予想」とは ほか 第3章 量子コンピュータは世界をどう変えるのか 【自動車】渋滞を解消しサプライチェーンの最適化 【金融】投資ビジネスの競争優位性を高める 【化学】最適な組み合わせを見つけバッテリー開発に活かす 【製薬】創薬にかかる膨大な時間とコストを圧縮 【物流】配達ルートや輸送手段の効率化 【メタバース】巨大な仮想経済圏を難なく支える超並列コンピューティング 暗号破りコンテストの結果と次世代暗号導入を急ぐ理由 暗号をめぐる中国と米国の駆け引き ほか

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