ISBN 9784297111359

量子コンピュータが本当にわかる! - 第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性

量子コンピュータが本当にわかる! - 第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性
出版社
技術評論社
刊行
2020-02

概要

量子コンピュータの仕組みと限界を開発者の視点で正確に理解する

想定読者

量子コンピュータに興味はあるがメディアの誇大報道で実体を掴みかねている読者。高校レベルの物理・数学の素養がある社会人や学部生が最初の1冊として手にとる想定。

こんな人には向いていない

  • 量子アルゴリズムの実装や Qiskit 等のフレームワークを使いこなしたいエンジニア(実装ガイドではなく概念解説が中心)
  • 超伝導・光量子・イオントラップそれぞれを数式レベルで深掘りしたい物理専攻の学生(各方式の紹介は網羅的だが数式の展開は最小限)
  • 量子アニーリングや D-Wave の実用ユースケースを具体的に学びたい実務者(ゲート型量子コンピュータが主軸であり、アニーリングは比較対象として扱われる)

読了後にできるようになること

  • 量子コンピュータが「全計算を並列実行するから速い」という誤解を解消し、どの問題クラスで速度優位が生まれるかを説明できる
  • 量子ビット・量子ゲート・量子回路の基本動作を、波の干渉という物理直感から理解できる
  • グローバーのアルゴリズムや化学計算シミュレーションなど、速度向上が期待される具体的な応用領域を挙げられる
  • 超伝導・イオントラップ・半導体・光量子の4方式を長所・短所・現在の開発状況とともに比較できる
  • Google の量子超越性実証が何を意味し、何を意味しないかを論理的に説明できる
  • 現場の開発者視点から見た量子コンピュータの現在地と今後の課題を現実的に把握できる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 量子コンピュータとは何か — ゲート型とアニーリング型の区別や代表的な誤解の整理から入るため、他の解説書で混乱した読者が最初に読む価値がある
  • 第 2 章 量子力学の基礎 — 二重スリット実験と量子重ね合わせを直感で理解する章。数式は抑えめで概念優先
  • 第 3 章 量子コンピュータの計算メカニズム — 量子ビットと量子ゲート操作の仕組みを波の操作として説明。第2章の直感が活きる
  • 第 4 章 速度優位が生まれる条件 — グローバーのアルゴリズムや化学シミュレーションなど、速度向上が期待される問題クラスを具体的に紹介。本書で最も実務的示唆が多い章
  • 第 5 章 実装方式の比較 — 超伝導・イオントラップ・半導体・光量子の4方式を横断的に比較。長所・短所・開発状況を把握したい読者向け
  • 第 6 章 光量子コンピュータ研究の最前線 — 著者自身が携わる研究領域の現在地を語る章。一次情報として読む価値がある

ハイライト

  • 量子コンピュータもあくまで現代のコンピュータの考え方をベースに発展させたコンピュータの一種であることや、どこにどう量子の性質が使われてどういう場合に計算が速くなるのかなどを、かみくだいて解説します(本書の核心的立場が最も端的に示されている一節。速さの源泉を正確に限定することで読者の期待値を適切に設定する)
  • 量子コンピュータ・ハードウェアの研究者が、現場の雰囲気を伝えつつ、一般向けに量子コンピュータを解説した書籍。誇大宣伝がなく誠実に書かれた一般向け解説なので、オススメです(外部書評が指摘する本書の差別化点。開発者が書いたという一次情報性と誠実さを評価している)

外部からの言及

  • 2020年刊行の量子コンピュータ関連書籍を網羅的に比較したQiita記事において、本書は一般向けカテゴリで誇大宣伝がなく誠実に書かれた解説書として推薦されている。開発者が現場の雰囲気を伝えながら書いた点が他書との差別化要因として挙げられている(qiita)

編集メモ

Qiita 言及記事1件(likes 24)。量子コンピューティング入門書カテゴリでの言及は限定的だが、2020年刊行の書籍群を比較したQiita記事内で誠実さを評価されている。信頼性は高いが量的シグナルは少ない

読む前に押さえておきたいこと

  • 高校物理の波動分野(干渉・回折)の基本概念
  • 古典的な論理ゲート(AND / OR / NOT)とビット演算の基礎知識
  • 指数関数・対数の基礎(計算量の議論を追うため)

学習のコツ

  • 第1章で列挙される誤解(全計算が速くなる / 量子並列計算で総当たりが高速化する等)を自分がいくつ持っていたか確認しながら読むと、理解度の自己評価がしやすい
  • 第4章の速度優位条件を読んだ後、第5章の実装方式比較に進むと、各方式がどの問題に強いかという視点で比較できるようになる
  • 第6章は著者の研究領域(光量子)に焦点が当たるため、超伝導方式の深掘りを求める読者は別途専門書を参照することを想定しておく
  • 本書を読んだ後に Qiskit やQuTiP など実装環境の公式ドキュメントに進むと、概念と実装の対応関係が理解しやすくなる
出版社による内容紹介

東京大学大学院 工学系研究科 古澤明 教授 推薦! 「新進気鋭の量子コンピュータ研究者による画期的な本。 量子コンピュータの本質がわかる」 日本における数少ない量子コンピュータの開発者自身が、かみくだいたやさしい話し言葉でそのしくみから可能性までを明かす、量子コンピュータ読本の決定版! Googleが「量子超越性」の実証を発表するなど、量子コンピュータ周辺のニュースが世間を騒がせるようになってきました。一方で、華々しい話を強調しすぎるあまり、量子コンピュータに得体のしれないひみつ道具のようなイメージが広がり、実体をきちんと知りたい人にとって必要な情報はあまり提供されていません。 本書は現場を知り尽くした開発者が、詳しく知りたい読者に向けて、量子コンピュータもあくまで現代のコンピュータの考え方をベースに発展させたコンピュータの一種であることや、どこにどう量子の性質が使われてどういう場合に計算が速くなるのかなどを、かみくだいて解説します。また、現在実際に開発が進められている量子コンピュータについて、その種類や長所・短所、将来の展望などを述べます。量子コンピュータに興味を持たれた方の、最初の1冊としておすすめです。

この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。

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