ISBN 9784873117003

データ分析によるネットワークセキュリティ

データ分析によるネットワークセキュリティ
刊行
2016-06

概要

多元的データ分析でネットワークセキュリティを体系化する

想定読者

ネットワーク監視・インシデント対応に携わるセキュリティエンジニアやシステム管理者で、場当たり的な対策から脱却し継続的なセキュリティ運用の方法論を身につけたい人

こんな人には向いていない

  • セキュリティの基礎概念(CIA トライアド・ファイアウォール原理)を初めて学ぶ入門者には前提知識要求が高い
  • Web アプリケーション脆弱性(XSS / SQLi)やペネトレーションテストを主目的とする読者にはスコープ外の内容が多い
  • Python や R の実行環境を用意できない、あるいはスクリプト実行に抵抗のある読者には演習部分で詰まる場面がある

読了後にできるようになること

  • SiLK・R・Python を使いネットワークフローデータを収集・分析するパイプラインを構築できる
  • センサーやログ収集の配置設計を目的から判断し、必要なデータを欠損なく蓄積する方法を説明できる
  • 探索的データ分析と可視化でネットワーク異常を検出し、誤検知と真の脅威を区別する手順を踏める
  • ボリューム分析・タイミング分析・グラフ分析を組み合わせた多元的アプローチでセキュリティイベントを評価できる
  • DNS・Whois・アプリケーション識別などの参照ツールを活用してネットワークインベントリを管理できる
  • 継続的・計画的なセキュリティ対策のサイクルを設計し、場当たり対応から組織的運用へ移行できる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 第I部: データ — センサーと検出器(配置・データ種別・処理) — データ収集戦略全体の設計思想を把握する起点。ここを読まずに分析ツール章へ飛ぶと後続の文脈が失われる
  • 第 2 章 第I部: データ — ネットワークセンサーとパケットデータ — フローベース vs パケットベースのトレードオフを整理する重要章
  • 第 3 章 第I部: データ — ホスト・サービスセンサーとロギング — エンドポイントログとネットワークログの統合観測に向けた前提
  • 第 4 章 第I部: データ — データストレージ(DB・NoSQL・ファイルシステム) — 大量ログの保管設計。既存インフラに合わせて選択できるよう比較視点が整理されている
  • 第 5 章 第II部: ツール — SiLK スイートの機能とコマンド — 本書の核心ツール。実際に環境を用意して手を動かしながら読むと定着する
  • 第 6 章 第II部: ツール — セキュリティ分析のための R 言語 — 統計的可視化を現場に持ち込む入口。R 未経験者はここだけ先に基礎資料を参照することを推奨
  • 第 7 章 第II部: ツール — IDS・アンチウイルス・セキュリティイベント管理システム — 既存ツールとデータ分析パイプラインを接続する架け橋となる章
  • 第 8 章 第II部: ツール — 参照ツール(MAC/IP・DNS・Whois) — 日常的なインシデント調査で参照価値が高い実務リファレンス
  • 第 9 章 第II部: ツール — 追加ツール(可視化・スキャン・パケット検査) — 任意拡張ツール群。優先度は現場のユースケースに依存するため、必要に応じて参照する使い方でよい
  • 第 10 章 第III部: 分析 — 探索的データ分析と可視化 — 実際の分析サイクルはここから始まる。第II部ツールを使う手順の集大成
  • 第 11 章 第III部: 分析 — 異常処理とエラー検出 — 誤検知との向き合い方を体系化する実践的な章
  • 第 12 章 第III部: 分析 — ボリューム分析とタイミング分析 — C2 通信やデータ漏洩の検出に直結する手法が集中している
  • 第 13 章 第III部: 分析 — グラフ分析 — ノード間の通信関係を可視化することで孤立したアラートでは見えない挙動を捉える
  • 第 14 章 第III部: 分析 — アプリケーション識別 — フィンガープリンティングによる不審プロセス特定のベースとなる知識
  • 第 15 章 第III部: 分析 — ネットワークマッピングとインベントリ — セキュリティ基盤の継続運用に必要なアセット可視化を扱う最終章

ハイライト

  • 従来の侵入検知やログファイル解析といった手法では、ネットワークのセキュリティを確保するのが不十分であるとの認識から、さまざまなデータを集めて多方面から多元的に分析した上で、適切な対策を講じようという、いままでになかった視点で書かれた画期的な内容です。(本書の問題意識と従来手法との差別化が最も端的に示されている記述)
  • 順序立って理解し、系統立ったセキュリティ手法を身に付けることにより、場当たり的な対策ではなく継続的・計画的なセキュリティ対策を取ることが可能となります。(本書が目指す実務的成果——単発の対処から継続的運用への転換——を明確に示している)

編集メモ

Qiita 言及記事 0 件 / Rakuten ランキング履歴なし。2016 年刊でデータ分析×セキュリティのアプローチを先駆けた書籍だが、外部シグナルは現時点で確認できない範囲に留まる

読む前に押さえておきたいこと

  • TCP/IP とネットワーク層の基礎(パケットヘッダの読み方、フローデータの概念)
  • Linux コマンドラインの基本操作(シェルスクリプト実行、パイプ処理)
  • SQL またはデータベースの基礎知識(クエリの読み書き)
  • セキュリティ基礎概念(IDS/IPS・ファイアウォール・ログの役割)の実務経験

学習のコツ

  • 第I部(データ収集設計)を読まずにツール章へ飛ぶと、なぜその設定をするのかの文脈が欠落する。376 ページは多く感じるが第I部 4 章を先に通読することで以降の吸収率が大きく上がる
  • SiLK 環境構築は章を読み進めながら並行して行う。仮想マシンや Docker で隔離環境を用意すると実習がスムーズになる
  • R 言語の経験がない場合、第II部の R 章に入る前に公式 cheatsheet(dplyr / ggplot2)を 30 分確認するだけで詰まるポイントが減る
  • 第III部の分析手法は互いに補完関係にある。ボリューム分析→グラフ分析→アプリケーション識別の順で読み、最後にネットワークマッピング章で全体像を統合するのが推奨ルート
出版社による内容紹介

データ分析という新しいアプローチによるセキュリティ手法を解説! 従来の侵入検知やログファイル解析といった手法では、ネットワークのセキュリティを確保するのが不十分であるとの認識から、さまざまなデータを集めて多方面から多元的に分析した上で、適切な対策を講じようという、いままでになかった視点で書かれた画期的な内容です。順序立って理解し、系統立ったセキュリティ手法を身に付けることにより、場当たり的な対策ではなく継続的・計画的なセキュリティ対策を取ることが可能となります。

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