ISBN 9784000614139

ブルシット・ジョブ : クソどうでもいい仕事の理論

ブルシット・ジョブ : クソどうでもいい仕事の理論
出版社
岩波書店
刊行
2020-07

概要

無意味な仕事が増殖する構造とメカニズムを解明し、労働の価値を問い直す

想定読者

自分の仕事の意味を疑い始めた社会人、組織論・労働論に関心のある人文系・ビジネス系の読者

こんな人には向いていない

  • 「仕事の効率化」「生産性向上」のハウツーを求めている人には、実践的な改善手法は一切示されない
  • 職場の具体的なマネジメント問題を解決したいマネージャーには、理論中心の構成が合わない可能性がある
  • 経済学の専門知識を前提とした学術的分析を期待する読者には、文化人類学的なアプローチが異質に映ることがある

読了後にできるようになること

  • ブルシット・ジョブを「取り巻き」「脅し屋」「尻ぬぐい」「書類穴埋め人」「タスクマスター」の5類型に分類し、自分の職場の仕事を分析できる
  • 無意味だと自覚しながらも働き続けることが引き起こす精神的暴力のメカニズムを説明できる
  • 技術革新によって労働時間は減るはずなのに、管理・調整・書類処理の仕事がなぜ増え続けるかの構造論的な説明を得られる
  • 労働それ自体を「価値」と見なす信仰(労働信仰)が社会的にどのように形成・維持されているかを理解できる
  • 週15時間労働という方向性がなぜ技術的に可能なのに実現しないのか、その政治的・経済的障壁を把握できる
  • ブルシット・ジョブ問題を個人の不満ではなく、封建制的な組織構造と結びつけて語れるようになる

本書のキー概念(章解説)

  • 序章: ブルシット・ジョブ現象について — 2013年のグレーバーによるエッセイが世界的反響を呼んだ経緯から始まり、本書全体の問題設定を示す
  • 第 1 章 第一章: ブルシット・ジョブとはなにか? — 定義と概念の精緻化。「シット・ジョブ」との違いも整理される
  • 第 2 章 第二章: どんな種類のブルシット・ジョブがあるのか? — 5類型(取り巻き・脅し屋・尻ぬぐい・書類穴埋め人・タスクマスター)を具体的な証言から分析する中核章
  • 第 3 章 第三章: なぜブルシット・ジョブをしている人間は自分が不幸だと述べるのか? — 精神的暴力の第一部。自分でも無価値と知っている仕事に従事することの心理的コストを考察
  • 第 4 章 第四章: ブルシット・ジョブに就いているとはどのようなことか? — 精神的暴力の第二部。当事者の証言をもとに日常的な体験を解剖する
  • 第 5 章 第五章: なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか? — 封建制・マネジメント層の自己増殖・労働信仰などの構造的説明。本書の理論的核心
  • 第 6 章 第六章: なぜ社会としてわたしたちは無意味な雇用の増大に反対しないのか? — 集合的な沈黙の謎。労働倫理と道徳的感情の社会学的分析
  • 第 7 章 第七章: ブルシット・ジョブの政治的影響とこの状況に対してなにをなしうるのか? — 週15時間労働論とベーシックインカム論へと接続する処方的な章

ハイライト

  • 完璧に無意味で割に合うけど取り繕いが必要な「ブルシット・ジョブ」。グレーバーは、取り巻き、脅し屋、尻ぬぐい、書類穴埋め人、タスクマスターの5種類を説明している(5類型の分類が本書の核心であることを端的に示す記述)
  • AIに置き換えられやすい職種は、競争力や規制がない独占企業の中で、企業自体が価値を認めないブルシット・ジョブです(AI時代における本書の概念の現代的適用を示す視点)

外部からの言及

  • 技術コミュニティやエンジニア組織の文脈で、職場内の役割の意味を問う際の参照軸として本書の5類型が引用される。特に「取り巻き」「タスクマスター」の概念が組織設計の議論で使われる傾向がある(qiita)
  • AI・自動化の文脈で「ブルシット・ジョブ」概念が再注目されている。企業の権力構造が温存する無意味な業務こそがAIに置き換わる、という分析に本書の枠組みが援用されている(qiita)

編集メモ

Qiita 言及 3 件 / 累計 likes 155(うち最大 120 likes の記事は傍論での言及)。専門技術書ではなく社会科学系の著作のため IT エンジニア向けコンテキストでの引用は限定的。ただし組織論・AI 置き換え議論での参照は継続している

読む前に押さえておきたいこと

  • 特定の技術的前提は不要。ただし現代の会社組織・官僚制・雇用慣行に実際に接した経験があると議論が身近に感じられる
  • 社会学・経済学の入門書を一冊でも読んでいれば、第六・七章の議論を追いやすくなる

学習のコツ

  • 第二章の5類型を読む前後で、自分が現在関わっている業務を各類型にあてはめてみると、抽象的な議論が一気に具体化する
  • 第五章(増殖メカニズム)は本書の理論的核心なので、時間が限られる場合は序章→二章→五章→七章の順で読むと論旨を最短で把握できる
  • 著者の前著『負債論』を事前に読む必要はないが、グレーバーの「経済人類学」的な視点に慣れておくと第六章の論証への抵抗感が減る
  • 巻末の「参考文献」と「訳者あとがき」は、本書の学術的位置づけと日本社会への応用を把握する上で読む価値がある
出版社による内容紹介

やりがいを感じないまま働く。ムダで無意味な仕事が増えていく。人の役に立つ仕事だけど給料が低いーーそれはすべてブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析し、ブルシット・ジョブ蔓延のメカニズムを解明。仕事の「価値」を再考し、週一五時間労働の道筋をつける。『負債論』の著者による解放の書。 序 章 ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)現象について 第一章 ブルシット・ジョブとはなにか? 第二章 どんな種類のブルシット・ジョブがあるのか? 第三章 なぜ、ブルシット・ジョブをしている人間は、きまって自分が不幸だと述べるのか?(精神的暴力について、第一部) 第四章 ブルシット・ジョブに就いているとはどのようなことか?(精神的暴力について、第二部) 第五章 なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか? 第六章 なぜ、ひとつの社会としてのわたしたちは、無意味な雇用の増大に反対しないのか? 第七章 ブルシット・ジョブの政治的影響とはどのようなものか、そしてこの状況に対してなにをなしうるのか? 謝 辞 原 注 訳者あとがき 参考文献

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