ISBN 9784000614245

経済学のためのゲーム理論入門

経済学のためのゲーム理論入門
出版社
岩波書店
刊行
2020-10

概要

産業組織論から金融政策まで応用例で学ぶゲーム理論の体系

想定読者

大学学部〜大学院レベルの経済学学習者、産業組織論・労働経済学・国際貿易論など応用分野を専攻する研究者・実務家

こんな人には向いていない

  • 数学的な証明を一切省いた直感的解説を求める読者には、本書は均衡の厳密な定義を丁寧に扱うため合わない
  • すでにFudenberg & Tirole等の上級テキストを通読した読者には、理論面の深度が物足りない可能性がある
  • ゲーム理論をITシステム設計やアルゴリズムに応用したい読者には、経済学応用に特化した本書よりCSよりの書籍が適している

読了後にできるようになること

  • ナッシュ均衡の定義と正当化を、クールノー・ベルトランの複占モデルを通じて具体的に導出できる
  • 後ろ向き帰納法とサブゲーム完全性を用いて、動学ゲームの均衡を絞り込む手順を習得できる
  • 繰り返しゲームの無限回繰り返し設定と協調均衡の成立条件(フォーク定理)を理解できる
  • ベイジアンナッシュ均衡と完全ベイジアン均衡を区別し、シグナリングゲーム・オークション・チープトークの均衡分析ができる
  • 就職市場シグナリング・銀行取付け・効率賃金・時間的整合性など、現実経済現象をゲーム理論で定式化する視点を獲得できる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 完備情報の静学ゲーム — ナッシュ均衡の導入と混合戦略まで。クールノー・ベルトラン・共有地問題と応用例が豊富で、最初に通読すべき基礎章
  • 第 2 章 完備情報の動学ゲーム — 後ろ向き帰納法・サブゲーム完全性・繰り返しゲームを扱う。繰り返しゲームの節は共謀・効率賃金・金融政策と実務的示唆が多い
  • 第 3 章 不完備情報の静学ゲーム — ベイジアンナッシュ均衡とオークション理論を含む。オークション設計や顕示原理は情報経済学への橋渡し
  • 第 4 章 不完備情報の動学ゲーム — 完全ベイジアン均衡の構築と精緻化。就職市場シグナリングなど定番応用例を通じて概念の使い方を体感できる

ハイライト

  • ゲーム理論の基本を簡潔に説明するとともに、産業組織論をはじめ国際貿易論、労働経済学、マクロ経済学など広い分野にわたる格好の応用例をとり入れて、実際に使えるように工夫された最良の入門書(本書の特徴である『理論+分野横断的応用例』の構成が端的に示されており、他の入門書との差別化が最も分かりやすい記述)
  • 正確で読みやすい訳文とあいまって日本でも多くの読者を獲得してきた世界的な定番テキストを、組版を一新して復刊(2020年の岩波書店版復刊の位置づけを示す。旧版所有者には新版購入の判断材料になる)

編集メモ

Qiita記事の直接言及は確認できず(qiita_article_count=0、qiita_total_likes=0)。楽天ランキング情報も入力なし。ただし英語原著はゲーム理論の世界的定番テキストであり、岩波書店からの復刊という出版経緯が継続的需要を示す。シグナル数値が不足するためsupplementaryとする

読む前に押さえておきたいこと

  • 高校数学レベルの微分・最大化問題(利潤最大化の一階条件を自力で解けること)
  • ミクロ経済学の基礎(需要・供給・企業行動)。同著者の応用例はミクロの文脈で設定されている
  • 期待値の概念(第3章以降のベイジアンゲームで使用)

学習のコツ

  • 第1章のナッシュ均衡・混合戦略を確実に定着させてから第2章へ進む。動学ゲームは静学の均衡概念を土台にしており、飛ばすと第4章の完全ベイジアン均衡で詰まりやすい
  • 各章の『応用』節(複占モデル・銀行取付け・効率賃金等)は、理論の節と対にして読むと均衡概念が具体的に根付く。理論節だけ連続して読む学習法は避けたい
  • 章末練習問題は均衡の計算手順の習得に直結する。特に第1・2章の問題は産業組織論の標準的出題形式そのものなので、試験・研究準備に積極的に活用する
  • 本書を読み終えた後に、引用されている原典論文(スペンスのシグナリング論文等)に当たると、モデルの背景にある問題意識が深まる
出版社による内容紹介

ゲーム理論の基本を簡潔に説明するとともに、産業組織論をはじめ国際貿易論、労働経済学、マクロ経済学など広い分野にわたる格好の応用例をとり入れて、実際に使えるように工夫された最良の入門書。正確で読みやすい訳文とあいまって日本でも多くの読者を獲得してきた世界的な定番テキストを、組版を一新して復刊。 まえがき 1 完備情報の静学ゲーム  1. 1 基礎理論:標準型ゲームとナッシュ均衡   1. 1.A ゲームの標準型による表現   1. 1.B 強く支配される戦略の逐次消去   1. 1.C ナッシュ均衡の正当化と定義  1. 2 応用   1. 2.A クールノーの複占モデル   1. 2.B ベルトランの複占モデル   1. 2.C 最終オファーによる調停   1. 2.D 共有地問題  1. 3 より上級の理論:混合戦略と均衡の存在   1. 3.A 混合戦略   1. 3.B ナッシュ均衡の存在  1. 4 読書案内  1. 5 練習問題  1. 6 参考文献 2 完備情報の動学ゲーム  2. 1 完備完全情報の動学ゲーム   2. 1.A 理論:後ろ向き帰納法   2. 1.B シュタッケルベルクの複占モデル   2. 1.C 組合を持つ企業における賃金と雇用   2. 1.D 逐次的交渉  2. 2 完備不完全情報の2段階ゲーム   2. 2.A 理論:サブゲーム完全性   2. 2.B 銀行の取付け   2. 2.C 関税と不完全国際競争   2. 2.D トーナメント  2. 3 繰り返しゲーム   2. 3.A 理論:2段階繰り返しゲーム   2. 3.B 理論:無限繰り返しゲーム   2. 3.C クールノー型複占企業間の共謀   2. 3.D 効率賃金   2. 3. E 時間的整合性を持つ金融政策  2. 4 完備不完全情報の動学ゲーム   2. 4.A ゲームの展開型による表現   2. 4.B サブゲーム完全なナッシュ均衡  2. 5 読書案内  2. 6 練習問題  2. 7 参考文献 3 不完備情報の静学ゲーム  3. 1 理論:静学ベイジアンゲームとベイジアンナッシュ均衡   3. 1.A 例:非対称情報の下でのクールノー競争   3. 1.B 静学ベイジアンゲームの標準型による表現   3. 1.C ベイジアンナッシュ均衡の定義  3. 2 応用   3. 2.A 混合戦略再論   3. 2.B オークション   3. 2.C ダブルオークション  3. 3 顕示原理  3. 4 読書案内  3. 5 練習問題  3. 6 参考文献 4 不完備情報の動学ゲーム  4. 1 完全ベイジアン均衡への入門  4. 2 シグナリングゲーム   4. 2.A シグナリングゲームの完全ベイジアン均衡   4. 2.B 就職市場のシグナリング   4. 2.C 企業投資と資本構造   4. 2.D 金融政策  4. 3 完全ベイジアン均衡のその他の応用   4. 3.A チープトークゲーム   4. 3.B 非対称情報の下での逐次的交渉   4. 3.C 有限回繰り返される囚人のジレンマでの評判  4. 4 完全ベイジアン均衡の精緻化  4. 5 読書案内  4. 6 練習問題  4. 7 参考文献 訳者あとがき 岩波書店版刊行にあたって 人名索引 事項索引

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