ISBN 9784003360422
ニコマコス倫理学(アリストテレス) 下
概要
愛・快楽・幸福の本質をアリストテレスが論じた古典哲学の完結巻
想定読者
倫理学・哲学の古典を一次資料で読みたい人文系の学生・研究者、および「幸福とは何か」「友情とはいかなるものか」を哲学的に掘り下げたい社会人
こんな人には向いていない
- 哲学の入門書として手軽に概要を押さえたい読者には、解説書・入門書の方が先に向いている
- 現代倫理学の学術動向(功利主義・義務論の展開)を知りたい読者には、本書単独では文脈が補われない
- ビジネス書的な「幸福になる7つの習慣」型の実用的知見を求める読者には内容が適合しない
読了後にできるようになること
- アリストテレスが「無抑制(アクラシア)」と「抑制(エンクラテイア)」をどう定義し、意志の弱さの問題をいかに解いたかを原典から理解できる
- フィリア(愛・友愛)の三分類—有用性・快楽・徳に基づく友情—の論理構造と、その現代的意義を把握できる
- アリストテレスが快楽を「行為に付随するもの」と位置づけ、プラトンとは異なる仕方で快楽論を展開した経緯を追える
- 『幸福(エウダイモニア)』の結論として、観想的生活(テオーリア)が最高の幸福とされる論拠を一次資料で検証できる
- 高田三郎訳の詳細な索引を通じて、ギリシャ哲学の術語体系を横断的に参照できる
本書のキー概念(章解説)
- 第 7 章 抑制と無抑制について — 意志の弱さ(アクラシア)の問題はソクラテスへの批判を含む。哲学的に最も論争的な章であり、現代の意思決定論・行動倫理学とも接続できる
- 第 8 章 友愛(フィリア)について(前篇) — 友情の三類型の定義を与える中核章。「徳に基づく友情」が本物の友情とされる論証は、人間関係論の古典的出発点
- 第 9 章 友愛(フィリア)について(後篇) — 自己愛と友愛の関係、政治共同体における友愛の役割を論じる。共同体論・政治哲学に関心がある読者にとって重要な章
- 第 10 章 快楽と幸福の結論 — 快楽の位置づけを再論したうえで、観想的生活が最高の幸福とする結論を導く。上巻の冒頭主題への回答として読むと論の全体構造が掴める
ハイライト
- 二十三世紀に近い歳月をしのいで遺った古典中の古典である。下巻には、「抑制と無抑制」について述べる第七巻、各種の「愛」を考察する第八・九巻、「快楽」に関する諸説の検討と「幸福」について結論する第十巻を収める。(下巻の主題範囲が端的に示されており、購入前に内容の見当をつけるのに最も有効な箇所)
外部からの言及
- ソフトウェア設計の文脈でアリストテレスの「中庸(メソテース)」概念を援用し、リソース粒度の判断基準として実務に接続しようとする記事が存在する。本書が扱う徳倫理学の枠組みが、技術的意思決定のメタファーとして参照されている(qiita)
編集メモ
Qiita 言及記事 2件(likes 合計 4)。本書を直接参照した記事はなく、アリストテレスの中庸概念への間接的言及のみ。哲学古典として長期的価値は高いが、IT技術者コミュニティ内での回覧は限定的
読む前に押さえておきたいこと
- プラトン対話篇(特に『パイドン』『国家』)の基本的な論点の把握。アリストテレスはプラトンのイデア論と快楽観を批判的に継承しているため
- 古代ギリシャの倫理学的背景—ポリス(都市国家)と市民の関係、エウダイモニアの語義—についての最低限の文脈理解
- 本書は下巻単体でも読めるが、幸福論の論証の出発点(第一巻の目的論・最高善の議論)は上巻にあるため、上巻の読了または要約把握が望ましい
学習のコツ
- 上巻(9784003360415)と対になっているため、幸福論の全体構造を追うには上巻の第一巻から読み始め、本書第十巻で回収するという通読が最も効果的
- 第七巻(無抑制論)はソクラテスとの論争を含むため、プラトン『プロタゴラス』での「知は徳である」命題を事前に押さえておくと論点が明快になる
- 第八・九巻(友愛論)は独立した論考として読み解きやすく、哲学的人間関係論に関心がある読者は上巻を未読でも入れる
- 巻末の詳細索引を活用し、術語(エウダイモニア・アレテー・フロネシス等)を横断参照しながら読むと、アリストテレスの概念体系の全容が立体的に把握できる
出版社による内容紹介
アリストテレス(前384-322)の著作を息子のニコマコスらが編集した本書は、二十三世紀に近い歳月をしのいで遺った古典中の古典である。下巻には、「抑制と無抑制」について述べる第七巻、各種の「愛」を考察する第八・九巻、「快楽」に関する諸説の検討と「幸福」について結論する第十巻を収める。詳細な索引を付す。
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。