ISBN 9784004310075
西洋哲学史 : 古代から中世へ
概要
古代ギリシア自然哲学から中世スコラ哲学まで、西洋哲学の通史を原典読解で学ぶ
想定読者
哲学史を体系的に学びたい大学生・大学院生、および西洋思想の源流を一冊で通覧したい人文・社会科学系の研究者や知的職業人
こんな人には向いていない
- 平易な概説書を求める哲学初学者(本書は原典テキストの解釈を中心とした学術的叙述が主軸で、思想家の生涯エピソードは最小限)
- 哲学の実用的応用(倫理学・人生論・ビジネス思考への転用)を期待する読者には対象外
- 近世以降(17世紀以降)の合理論・経験論・ドイツ観念論を重点的に学びたい読者(本書の射程は主に古代〜中世スコラ哲学まで)
読了後にできるようになること
- タレス・ヘラクレイトス・パルメニデスら古代自然哲学者の宇宙論的問いと、その多様な解答の論理的差異を説明できる
- プラトンのイデア論とアリストテレスの形而上学(形相・質料・四原因説)の核心的な差異を理解できる
- ストア派・懐疑論・新プラトン主義(プロティノスの一者論)など古代後期の哲学潮流を、その歴史的文脈とともに把握できる
- アウグスティヌスの神学哲学からトマス・アクィナスの神の存在証明まで、中世スコラ哲学の展開を一本の思想史的流れとして追える
- スコトゥスの一義性論・オッカムの剃刀が近代哲学(デカルト)への移行をどのように準備したかを理解できる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 哲学の始原へ — タレス・アナクシマンドロス・アナクシメネスを扱う。自然の根源(アルケー)を最初に問うた哲学的な出発点として、本書全体の起点を理解する章
- 第 2 章 ハルモニアへ
- 第 3 章 存在の思考へ
- 第 4 章 四大と原子論
- 第 5 章 知者と愛知者 — ソクラテスとソフィストの対比が中心。本書における『哲学者像』の原型が形成される章として重要
- 第 6 章 イデアと世界 — プラトンのイデア論を詳述する本書古代篇の核心章。第7章(アリストテレス)と対で読むことで対比が鮮明になる
- 第 7 章 自然のロゴス — 形而上学・自然学・倫理学を貫くロゴス概念を中心に論じる。本書における古代哲学の到達点
- 第 8 章 生と死の技法
- 第 9 章 古代の懐疑論
- 第 10 章 一者の思考へ — 新プラトン主義(フィロン・プロティノス・プロクロス)を扱う。古代哲学から中世神学への橋渡しとして第11章以降の理解に不可欠
- 第 11 章 神という真理 — アウグスティヌスを軸に中世哲学の起点を論じる最重要章。神の内在性と意志の自由の論理をここで押さえる
- 第 12 章 一、善、永遠
- 第 13 章 神性への道程
- 第 14 章 哲学と神学と — トマス・アクィナスの神の存在の五証明を詳述するスコラ哲学の頂点章。理性と信仰の関係を論じる本書中世篇の核心
- 第 15 章 神の絶対性へ — スコトゥス・オッカム・デカルトを扱う最終章。タイトルの射程(古代〜中世)を超えてデカルトまで踏み込み、中世から近代への移行を概観する
ハイライト
- 第5章 知者と愛知者 私がしたがうのは神に対してであって、諸君にではない ──ソフィストたち、ソクラテス、ディオゲネス(ソクラテスが神霊の命に従い哲学的問答を続けた立場を示す原典引用。哲学する生の本質を端的に表す本書の章立て構造の一例)
- 第2章 ハルモニアへ 世界には音階があり、対立するものの調和が支配している ──ピタゴラスとその学派、ヘラクレイトス、クセノファネス(対立物の調和というハルモニア論の核心。多様な自然哲学が対立しながら真理を探求する本書全体の構造を象徴する)
- 第13章 神性への道程 神はその卓越性のゆえに、いみじくも無と呼ばれる ──偽ディオニシオス、エリウゲナ、アンセルムス(否定神学の核心命題。神を肯定的述語で規定できないという逆説が、古代から中世への哲学的転換を最も端的に示す箇所)
編集メモ
Qiita 記事での言及は確認できず(検索結果 0 件)、Rakuten ランキング情報なし。哲学・人文系の学術書であり IT 技術書プラットフォームでの外部シグナルは取得できない。2006 年刊行の岩波文庫版として高い専門性を持つが、シグナル不足のため supplementary と判定
読む前に押さえておきたいこと
- 哲学用語の最低限の理解(形而上学・存在論・認識論・倫理学の概念的区別)
- ギリシア哲学の概要(タレス・ソクラテス・プラトン・アリストテレスの名前と大まかな立場)を事前に把握していると吸収が速い
- キリスト教神学の基礎概念(三位一体・原罪・恩寵など)を知っていると、第11章以降の中世章の理解が深まる
学習のコツ
- 第6章(プラトン)と第7章(アリストテレス)は古代哲学の峰であり、この2章を軸にして前後の章を往復するとイデア論 vs 形而上学の対比が鮮明になる
- 第10章(新プラトン主義)は古代と中世を繋ぐ橋渡し章として機能する。第11章(アウグスティヌス)の前に必ず読む
- 第15章はデカルトで締められており、同著者の続編『西洋哲学史 近代から現代へ』への接続点を示している。単独で通読する場合も、最終章として通史の枠組みを掴む助けになる
- 各章冒頭の引用テーゼ(例: アリストテレスの『すべての人間は、生まれつき知ることを欲する』)を先に読み、そのテーゼがどのような論証によって支持されるかを追いながら読むと、難解な議論の道標になる
出版社による内容紹介
まえがき 凡 例 第1章 哲学の始原へ いっさいのものは神々に充ちている ──タレス、アナクシマンドロス、アナクシメネス 第2章 ハルモニアへ 世界には音階があり、対立するものの調和が支配している ──ピタゴラスとその学派、ヘラクレイトス、クセノファネス 第3章 存在の思考へ あるならば、生まれず、滅びない ──パルメニデス、エレアのゼノン、メリッソス 第4章 四大と原子論 世界は愛憎に満ち、無は有におとらず存在する ──エンペドクレス、アナクサゴラス、デモクリトス 第5章 知者と愛知者 私がしたがうのは神に対してであって、諸君にではない ──ソフィストたち、ソクラテス、ディオゲネス 第6章 イデアと世界 かれらはさまざまなものの影だけを真の存在とみとめている ──プラトン 第7章 自然のロゴス すべての人間は、生まれつき知ることを欲する ──アリストテレス 第8章 生と死の技法 今日のこの日が、あたかも最期の日であるかのように ──ストア派の哲学者群像 第9章 古代の懐疑論 懐疑主義とは、現象と思考を対置する能力である ──メガラ派、アカデメイア派、ピュロン主義 第10章 一者の思考へ 一を分有するものはすべて一であるとともに、一ではない ──フィロン、プロティノス、プロクロス 第11章 神という真理 きみ自身のうちに帰れ、真理は人間の内部に宿る ──アウグスティヌス 第12章 一、善、永遠 存在することと存在するものとはことなる ──ボエティウス 第13章 神性への道程 神はその卓越性のゆえに、いみじくも無と呼ばれる ──偽ディオニシオス、エリウゲナ、アンセルムス 第14章 哲学と神学と 神が存在することは、五つの道によって証明される ──トマス・アクィナス 第15章 神の絶対性へ 存在は神にも一義的に語られ、神にはすべてが現前する ──スコトゥス、オッカム、デカルト あとがき 人名キーワード 邦語文献一覧 関連略年表
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