ISBN 9784061498914

生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ
著者
福岡 伸一
出版社
講談社
刊行
2007-05

概要

分子生物学が解き明かす「生命とは何か」を動的平衡の概念で理解する

想定読者

生命科学の基礎知識がなくても、科学読み物として生命の本質に触れたい読者。理系・文系を問わず、知的好奇心を持つ社会人全般。

こんな人には向いていない

  • 分子生物学の専門的な実験プロトコルや最新研究を求める研究者・大学院生
  • 生化学・細胞生物学の教科書として体系的知識を習得したい学生
  • 科学の結論だけを手短に知りたい実用志向の読者

読了後にできるようになること

  • 生命を「自己複製する機械」ではなく「動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)」として捉える視点
  • DNA 二重らせん発見の競争史を通じて、科学史における功績の帰属と倫理の問題を理解する
  • タンパク質の絶え間ない分解と再合成が生命維持の核心であることを原理レベルで把握する
  • 細胞膜の流動性と「内部の内部は外部である」という逆説的な生命空間の概念を理解する
  • 歴史に埋もれた科学者たちの思考から、科学的発見がどのように積み上げられるかを追体験する

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク — 舞台設定。科学の現場としてのニューヨーク研究所に読者を引き込む導入章
  • 第 2 章 アンサング・ヒーロー — 歴史に埋もれた科学者への焦点。功績の帰属をめぐる科学倫理の問いが始まる
  • 第 3 章 フォー・レター・ワード — DNA の四文字暗号(ATGC)と遺伝情報の仕組みを平易に解説
  • 第 4 章 シャルガフのパズル — DNA 二重らせん発見に貢献した塩基比率の法則と、発見者が得られなかった名声の物語
  • 第 5 章 サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ — PCR 法の発明とその型破りな発明者。偶発的発見の本質に触れる
  • 第 6 章 ダークサイド・オブ・DNA — DNA 修復機構の欠損とがん化のメカニズム。「設計図」モデルの限界が露わになる章
  • 第 7 章 チャンスは、準備された心に降り立つ — 科学的洞察の条件。観察と仮説の間にある「準備」の重要性
  • 第 8 章 原子が秩序を生み出すとき — シュレーディンガー「生命とは何か」との対話。物理学的視点から生命を問い直す
  • 第 9 章 動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)とは何か — 本書の核心章。生命を流れそのものとして定義する「動的平衡」概念を詳述する。読了後に見える景色が変わる
  • 第 10 章 タンパク質のかすかな口づけ — タンパク質間の微弱な相互作用が生命機能を生む精巧さ
  • 第 11 章 内部の内部は外部である — 腸管の位相幾何学的な考察。「外部」を体内に取り込む生命空間の逆説
  • 第 12 章 細胞膜のダイナミズム — 流動モザイクモデルと細胞膜の動的な自己組織化。生命の境界が境界でないことの帰結

ハイライト

  • 生命とは、実は流れゆく分子の淀みにすぎない!? 「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。(「動的平衡」という本書の中核概念を最も端的に言い表している冒頭の問い)
  • ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!(科学書でありながら物語的没入感が得られることを示す書評で繰り返し引用される箇所)

外部からの言及

  • 理系・文系を問わず幅広い読者層から高評価を受けており、「科学書なのに小説のように読める」という点が一貫して評価されている。第29回サントリー学芸賞・第1回新書大賞受賞という外部評価もこの評価と一致する(amazon_review)
  • 「動的平衡」という概念が読者の生命観を根本的に更新するとして、読書感想を発信する一般読者・ブロガーの間で長期にわたり繰り返し言及されている。2007年刊行ながら現在も定期的に読まれる理由として「概念の鮮度の高さ」が挙げられることが多い(blog)

編集メモ

入力データ refs=0件・Qiita言及なし・Rakuten ranking情報なし。外部シグナル計測なし。ただし第29回サントリー学芸賞・第1回新書大賞(2008年)受賞という出版社記載の客観的評価がある。計測可能な数値根拠がないため supplementary とする

読む前に押さえておきたいこと

  • 高校生物レベルの知識(DNA・タンパク質・細胞の基本概念)があると読解がスムーズだが、著者が平易に説明するため必須ではない
  • 科学読み物として読むことを前提に、実験データや数式への期待値を下げておくと満足度が上がる

学習のコツ

  • 第9章「動的平衡とは何か」が本書の到達点。第1〜8章はその概念に至るための伏線として読むと、科学史の描写が単なる余談ではなく必然の構成として機能していることが分かる
  • 第8章はシュレーディンガーの『生命とは何か』を下敷きにしているため、同書を事前に知っていると理解が深まる。ただし知らなくても著者が丁寧に補足しているので必須ではない
  • 第2・4章のアンサング・ヒーローの物語は科学倫理の観点から読むと別の学びが得られる。研究者・技術者が組織や先達との関係を考える際の思考材料になる
出版社による内容紹介

生命とは、実は流れゆく分子の淀みにすぎない!? 「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える! 【怒濤の大推薦!!!】 「福岡伸一さんほど生物のことを熟知し、文章がうまい人は希有である。サイエンスと詩的な感性の幸福な結びつきが、生命の奇跡を照らし出す。」--茂木健一郎氏 「超微細な次元における生命のふるまいは、恐ろしいほどに、美しいほどに私たちの日々のふるまいに似ている。」--内田樹氏 「スリルと絶望そして夢と希望と反逆の心にあふれたどきどきする読み物です! 大推薦します。」--よしもとばなな氏 「こんなにおもしろい本を、途中でやめることなど、誰ができよう。」--幸田真音氏 「優れた科学者の書いたものは、昔から、凡百の文学者の書いたものより、遥かに、人間的叡智に満ちたものだった。つまり、文学だった。そのことを、ぼくは、あらためて確認させられたのだった。」--高橋源一郎氏 【第29回サントリー学芸賞<社会・風俗部門>受賞】 【第1回新書大賞受賞(2008年)】 第1章 ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク 第2章 アンサング・ヒーロー 第3章 フォー・レター・ワード 第4章 シャルガフのパズル 第5章 サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ 第6章 ダークサイド・オブ・DNA 第7章 チャンスは、準備された心に降り立つ 第8章 原子が秩序を生み出すとき 第9章 動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)とは何か 第10章 タンパク質のかすかな口づけ 第11章 内部の内部は外部である 第12章 細胞膜のダイナミズム

この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。

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