ISBN 9784061597006
経済学の歴史
概要
12人の経済学者の評伝を通じて現代経済学の思想的土台を理解する
想定読者
経済学の理論的背景を体系的に把握したい社会人・学生。現代の経済政策や思想論争の文脈を歴史的視座から読み解きたい人。
こんな人には向いていない
- ケインズやマルクスの理論を数式や実証モデルで学びたい人には、評伝・思想解説が中心のため合わない
- 経済データの分析手法や計量経済学の技術を求める実務家には対象外
- 特定の現代経済理論(行動経済学・ゲーム理論)を深く学ぶ目的には範囲が限定される
読了後にできるようになること
- ケネー・スミス・リカード・ミルによる古典派経済学の形成過程と内部の論争を把握できる
- マルクス・メンガー・ワルラスが19世紀後半に打ち立てた異なる価値論の視座を比較できる
- ケインズ革命とシュンペーターの『創造的破壊』概念が生まれた歴史的背景を説明できる
- スミスが自由放任主義の元祖として誤用されてきた経緯を具体的に示すことができる
- 現代理論を批判的に読むための経済学史的な視点を身につけられる
- スラッファやガルブレイスなど、主流派から距離を置いた異端的潮流の論点を知る
本書のキー概念(章解説)
- プロローグ: なぜ経済学の歴史を学ぶのか — 本書全体の問題意識が凝縮されており、最初に通読する価値がある
- 第 1 章 フランソワ・ケネー: 「エコノミスト」の誕生 — 重農主義と経済循環の原型を描く。経済学という学問の出発点として位置づけられる
- 第 2 章 アダム・スミス: 資本主義の発見 — スミスの本来の姿と後世の誤読を対比する章。本書の問題意識が最もよく表れる
- 第 3 章 デイヴィッド・リカード: 古典派経済学の完成
- 第 4 章 ジョン・ステュアート・ミル: 過渡期の経済学
- 第 5 章 カール・マルクス: 「資本」の運動法則
- 第 6 章 カール・メンガー: 主観主義の経済学 — 限界革命の出発点。ワルラスと並べて読むと主観・均衡・市場の問題が立体的になる
- 第 7 章 レオン・ワルラス: もう1つの「科学的社会主義」
- 第 8 章 アルフレッド・マーシャル: 「自然は飛躍せず」
- 第 9 章 ジョン・メイナード・ケインズ: 有効需要の原理 — 現代財政・金融政策を学ぶ上での思想的基礎として実務的参照価値が高い
- 第 10 章 ヨゼフ・アロイス・シュンペーター: 「創造的破壊」の世界 — イノベーション論の文脈でよく引用される章。評伝部分が充実している
- 第 11 章 ピエロ・スラッファ: 「商品による商品の生産」
- 第 12 章 ジョン・ケネス・ガルブレイス: 「制度的真実」への挑戦
ハイライト
- 経済学の歴史を学ぶ理由の1つは、現代理論を盲信する危険性を防ぐことにあると思われる。スミスは本来、絶妙なるバランス感覚の持ち主であり、決して極端な自由放任主義者ではなかったが、いつの間にか自由放任主義哲学の元祖として利用されるようになった(本書の中心的問題意識が著者自身の言葉で端的に示されている箇所)
編集メモ
Qiita 言及 0件 / 楽天ランキング情報なし。外部シグナルは確認できず。講談社学術文庫の定番入門書として流通実績はあるが、数値根拠による上位ラベル付けは不可
読む前に押さえておきたいこと
- 高校レベルの経済学(需要と供給、GDP の概念)があれば十分。専門知識は前提とされていない
- 西洋史・近代ヨーロッパ史の大まかな流れを知っていると、各経済学者の生きた時代背景の理解が深まる
学習のコツ
- 第2章(スミス)を起点に読み始めると、その後の章でスミス解釈がどう分岐するかを追跡しやすい
- 第6・7章(メンガーとワルラス)は対で読むと、現代ミクロ経済学の二つの源流が鮮明になる
- 第9章(ケインズ)と第10章(シュンペーター)は現代の財政・イノベーション論争の原点として、関連する現代の政策議論と並行して読むと吸収が早い
- プロローグで提示される「現代理論の盲信を防ぐ」という視点を念頭に置きながら各章を読むと、評伝部分が単なる伝記以上の意味を持って見えてくる
出版社による内容紹介
『経済表』を考案したケネーはルイ15世寵妃の侍医であり、『国富論』の著者・スミスは道徳哲学の教授だった。興味深い経済学草創期からリカード、ミル、マルクス、ワルラスを経てケインズ、シュンペーター、ガルブレイスに至る12人の経済学者の評伝と理論を解説。彼らの生きた時代と社会の発展をたどり、現代経済学を支える哲学と思想を再発見する。(講談社学術文庫) スミス以降、経済学を築いた人と思想の全貌創始者のケネー、スミスからマルクスを経てケインズ、シュンペーター、ガルブレイスに至る12人の経済学者の生涯と理論を解説。 『経済表』を考案したケネーはルイ15世寵妃の侍医であり、『国富論』の著者・スミスは道徳哲学の教授だった。興味深い経済学草創期からリカード、ミル、マルクス、ワルラスを経てケインズ、シュンペーター、ガルブレイスに至る12人の経済学者の評伝と理論を解説。彼らの生きた時代と社会の発展をたどり、現代経済学を支える哲学と思想を再発見する。 経済学の歴史を学ぶ理由の1つは、現代理論を盲信する危険性を防ぐことにあると思われる。例えば、スミスは、本来、絶妙なるバランス感覚の持ち主であり、決して極端な自由放任主義者ではなかったが、いつの間にか自由放任主義哲学の元祖として「自由至上主義者」たちに学問的にも政治的にも利用されるようになった。だが、それがわかるには、そもそもスミスが何を考えていたのか正確に知っておかなければならない。経済学史の効用の1つがここにある。--<本書「プロローグ」より> プロローグ なぜ経済学の歴史を学ぶのか 第1章 フランソワ・ケネーーー「エコノミスト」の誕生 第2章 アダム・スミスーー資本主義の発見 第3章 デイヴィッド・リカードーー古典派経済学の完成 第4章 ジョン・ステュアート・ミルーー過渡期の経済学 第5章 カール・マルクスーー「資本」の運動法則 第6章 カール・メンガーーー主観主義の経済学 第7章 レオン・ワルラスーーもう1つの「科学的社会主義」 第8章 アルフレッド・マーシャルーー「自然は飛躍せず」 第9章 ジョン・メイナード・ケインズーー有効需要の原理 第10章 ヨゼフ・アロイス・シュンペーターーー「創造的破壊」の世界 第11章 ピエロ・スラッファーー「商品による商品の生産」 第12章 ジョン・ケネス・ガルブレイスーー「制度的真実」への挑戦
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