ISBN 9784121018168

西洋音楽史 : 「クラシック」の黄昏

西洋音楽史 : 「クラシック」の黄昏
著者
岡田暁生
出版社
中央公論新社
刊行
2005-10

概要

西洋音楽の千年を「芸術と娯楽の分裂」軸で一望する

想定読者

クラシック音楽の背景・文脈を体系的に理解したい社会人、音楽愛好家、教養として音楽史を学びたい人文系学習者

こんな人には向いていない

  • 楽典・和声理論など演奏技術の向上を目的とする人には内容が合わない
  • 特定の作曲家・作品の詳細分析を求める人には通史として薄く感じる可能性がある
  • 264 ページの新書判のため、音楽学の専門的研究書を求める研究者には入門的すぎる

読了後にできるようになること

  • 中世の単声聖歌からルネサンス多声音楽、バロックの通奏低音まで、各時代の音楽語法がなぜ生まれたかを社会・宗教的文脈とともに説明できる
  • ウィーン古典派(ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェン)が「啓蒙のユートピア」として機能した理由を言語化できる
  • ロマン派音楽の膨張と矛盾——標題音楽・交響詩・楽劇への展開とその限界——を時代背景から整理できる
  • 世紀転換期からの爛熟・崩壊過程を、第一次世界大戦という断絶と結びつけて説明できる
  • 二〇世紀以降の現代音楽が「クラシックの後」に来る必然性を、芸術音楽と娯楽音楽の分裂史として位置づけられる
  • 「クラシック音楽」という概念自体が一八世紀後半に構築されたものであることを理解し、音楽の「美しさ」が時代ごとに再定義されてきた事実を把握できる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 謎めいた中世音楽 — グレゴリオ聖歌から多声音楽の萌芽まで。現代人に最も馴染みが薄い時代だが、後章への伏線として丁寧に読む価値がある
  • 第 2 章 ルネサンスと「音楽」の始まり — 「音楽」という概念自体がルネサンスに再定義される過程。人文主義と音楽の関係が焦点
  • 第 3 章 バロック——既視感と違和感 — 通奏低音・対位法・オペラの誕生。現代のクラシック愛好家には「よく知っている」と「実は知らない」が交差する章
  • 第 4 章 ウィーン古典派と啓蒙のユートピア — 本書の中心軸となる章。「クラシック音楽」の黄金期が政治・思想的コンテクストと不可分であることを論じる
  • 第 5 章 ロマン派音楽の偉大さと矛盾 — 拡大し続けるオーケストラと標題音楽の限界。ワーグナー問題にも触れる
  • 第 6 章 爛熟と崩壊——世紀転換期から第一次世界大戦へ — マーラー・シェーンベルクの時代。調性の崩壊が社会的断絶と並走する過程
  • 第 7 章 二〇世紀に何が起きたのか — 「クラシック後」の現代音楽と大衆音楽の並立。本書の問いへの応答となる最終章

ハイライト

  • 一八世紀後半から二〇世紀前半にいたる西洋音楽史は、芸術音楽と娯楽音楽の分裂のプロセスであった。(本書全体の問いを一文で示す核心部分。この「分裂」テーゼが全七章の通奏低音となっている)
  • 音楽史という大河を一望のもとに眺めわたす。(中世から二〇世紀まで264ページで貫く著者の方法論的態度を端的に示す)

編集メモ

Qiita 言及 0 件 / 楽天ランキング履歴なし。音楽史・教養書ジャンルは IT 技術書中心のシグナル収集範囲外のため数値根拠が乏しく、supplementary と判定。ロングセラー中公新書(2005年初版)であり読者評価は高いが、外部シグナルデータが取得できていない

読む前に押さえておきたいこと

  • 特別な音楽理論の知識は不要。ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェン・ブラームスの名前を一度でも聞いたことがある程度で十分
  • 高校世界史レベルの西洋近代史(フランス革命・産業革命・第一次世界大戦)の基礎知識があると各章の社会背景が把握しやすい

学習のコツ

  • 第4章(ウィーン古典派)と第5章(ロマン派)は本書の論旨が最も凝縮されており、時間が限られる場合はここから先に読むと全体の骨格が掴みやすい
  • 各章の時代を象徴する作品をBGMに流しながら読むと、著者の記述と音響体験が結びつきやすくなる——巻末に参考音源リストはないが、YouTube や Spotify で各章の作曲家名を検索するだけで十分
  • 第1章(中世)は現代人にはとっつきにくいが、後章の「分裂テーゼ」を理解するための前史として位置づけて我慢強く読むと回収が早い
  • 第7章を読んだ後に第1章に戻ると、「中世の宗教音楽 → 芸術音楽 → 現代の細分化」という大弧がより明確に見える
出版社による内容紹介

一八世紀後半から二〇世紀前半にいたる西洋音楽史は、芸術音楽と娯楽音楽の分裂のプロセスであった。この時期の音楽が一般に「クラシック音楽」と呼ばれている。本書は、「クラシック音楽」の歴史と、その前史である中世、ルネサンス、バロックで何が用意されたのか、そして、「クラシック後」には何がどう変質したのかを大胆に位置づける試みである。音楽史という大河を一望のもとに眺めわたす。

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