ISBN 9784254127928
経済・ファイナンスデータの 計量時系列分析
概要
経済・金融の実データへ計量時系列モデルを体系的に適用する
想定読者
統計・計量経済の基礎知識を持ち、ARMA・GARCH・VARといった時系列モデルを理論から実データ分析まで習得したい研究者・データ分析者
こんな人には向いていない
- 時系列分析が初めての入門者。数学的な展開が多く、基礎的な統計学・確率論の知識がないと独習は困難
- コード実装中心に学びたい人。章末問題はあるが実装例は限定的で、実装志向の学習者には補足書籍が必要になる
- 状態空間モデルやカルマンフィルタを主軸に学びたい人。本書のカバー範囲外であり、別書籍が必要
読了後にできるようになること
- ARMA過程の定常性・反転可能性の条件を理解し、モデル選択(AIC/BIC)を適用できる
- VARモデルでグレンジャー因果性・インパルス応答関数・分散分解を用いた多変量経済分析ができる
- 単位根検定(ADF・PP検定)と共和分関係の推定・検定を経済データに適用できる
- GARCHモデルとその多変量拡張でボラティリティをモデル化し、金融リスク分析に活かせる
- 閾値モデル・マルコフ転換モデルによる構造変化を伴う経済時系列を扱える
- 見せかけの回帰の罠を識別し、共和分の有無を踏まえた適切な推定手順を選択できる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 時系列分析の基礎概念 — 定常性・ホワイトノイズ・自己相関の検定。以降の章の前提となるため丁寧に読む
- 第 2 章 ARMA過程 — 定常性・反転可能性の数理的条件とモデル推定・選択の流れ
- 第 3 章 予測 — AR/MA/ARMA各過程の区間予測まで。実務応用で直接参照頻度が高い章
- 第 4 章 VARモデル — グレンジャー因果性・インパルス応答・分散分解を通じた多変量分析の核心。実データで手を動かす価値が高い
- 第 5 章 単位根過程 — 単位根検定の理論的背景と統計的推測。6章と合わせて読むと理解が深まる
- 第 6 章 見せかけの回帰と共和分 — Granger表現定理・共和分推定・検定。回帰分析の落とし穴を回避するための必須知識
- 第 7 章 GARCHモデル — ボラティリティモデリングの理論と多変量拡張。金融データ分析を扱う場合は特に重要
- 第 8 章 状態変化を伴うモデル — 閾値・平滑推移・マルコフ転換モデル。景気循環など非線形な体制変化の捉え方
ハイライト
- 基礎的な考え方を丁寧に説明すると共に,時系列モデルを実際のデータに応用する際に必要な知識を紹介。ARMA過程から共和分・GARCHモデル・状態変化を伴うモデルまでを体系的に収録している。(本書の構成範囲と実データ応用を重視する姿勢が端的に示されている箇所)
外部からの言及
- 複数の時系列分析学習者が「理論強めの本」と位置づけており、入門書で基礎を固めた後に理論補填として使う「王道」として推奨されている。一方、最初の一冊として選ぶと難易度で挫折しやすいという指摘も一定数見られる(qiita)
- 数学が苦手な読者には他のコード例が豊富な書籍と並行利用を推奨する声が複数あり、理論の堅牢さを評価しつつも実装サポートの薄さを補完する使い方が定着している(qiita)
- 章末問題をPythonで解いてQiitaに公開する記事が複数存在し、本書を実際に手を動かしながら学ぶ資産として活用するコミュニティが形成されている(qiita)
編集メモ
Qiita言及記事6件(直接章末問題解説3件 + 書籍リスト掲載3件)、累計likes 2242(書籍リスト記事含む)。時系列分析書の比較記事で繰り返し言及されており、計量経済・金融領域の標準的参考書として定着している。essential基準(記事10件以上・likes200以上の専用言及)には達しないためpracticalと判定
読む前に押さえておきたいこと
- 大学学部レベルの統計学(期待値・分散・仮説検定の基礎)
- 線形代数の基礎(行列演算・固有値)。4章VARモデルから必要になる
- 回帰分析とOLS推定の基本概念
- RまたはPythonの基本操作(数値計算・グラフ描画レベル)
学習のコツ
- 1章で定常性・自己相関の概念を確実に押さえてから先へ進む。ここが曖昧だと5・6章の単位根・共和分で躓く原因になる
- 金融データ分析が主目的なら7章(GARCH)を早めに読むことを検討する。前提は1・2章の理解で足り、3〜6章と並行学習も可能
- 章末問題はQiitaにPython実装の解答例が公開されており(mckeeeen氏の連載)、本書がR想定であっても数値検証に活用できる
- 4章VARモデルと6章共和分は概念のつながりが深い。6章を読む前に4章のインパルス応答・分散分解を実データで一度試すと吸収が早い
出版社による内容紹介
基礎的な考え方を丁寧に説明すると共に,時系列モデルを実際のデータに応用する際に必要な知識を紹介。〔内容〕基礎概念/ARMA過程/予測/VARモデル/単位根過程/見せかけの回帰と共和分/GARCHモデル/状態変化を伴うモデル 1. 時系列分析の基礎概念 1.1 時系列分析の基礎 1.2 定常性 1.3 ホワイトノイズ 1.4 自己相関の検定 2. ARMA過程 2.1 ARMA過程の性質 2.2 ARMA過程の定常性と反転可能性 2.3 ARMAモデルの推定 2.4 ARMAモデルの選択 3. 予測 3.1 予測の基礎 3.2 AR過程の予測 3.3 区間予測 3.4 MA過程の予測 3.5 ARMA過程の予測 4. VARモデル 4.1 弱定常ベクトル過程 4.2 VARモデル 4.3 グレンジャー因果性 4.4 インパルス応答関数 4.5 分散分解 4.6 構造VARモデル 5. 単位根過程 5.1 単位根過程の性質 5.2 単位根検定 5.3 単位根AR過程における統計的推測 6. 見せかけの回帰と共和分 6.1 見せかけの回帰 6.2 共和分 6.3 Granger表現定理 6.4 共和分関係の推定 6.5 共和分の検定 7. GARCHモデル 7.1 ボラティリティのモデル化の重要性 7.2 GARCHモデル 7.3 GARCHモデルの統計的推測 7.4 多変量GARCHモデル 7.5 相関変動モデル 8. 状態変化を伴うモデル 8.1 閾値モデル 8.2 平滑推移モデル 8.3 マルコフ転換モデル
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。