ISBN 9784276400252
ベートーヴェン ピアノのための変奏曲集2
概要
ベートーヴェン初期・中期の変奏曲10作をピアノで演奏・研究する
想定読者
ベートーヴェンの変奏曲をレパートリーに加えたいピアノ学習者・演奏家、および作曲技法としての変奏を研究する音楽学専攻の学生
こんな人には向いていない
- ピアノ入門段階の学習者——収録曲のほとんどは中級以上の読譜・演奏能力を前提とする
- ベートーヴェン三大ソナタや交響曲を中心に学びたい人——変奏曲形式に特化した楽譜集であり、ソナタ形式の学習には別書が適している
- 楽典・音楽理論のみを学びたい読者——実演用楽譜であり、理論解説書ではない
読了後にできるようになること
- WoO番号で整理されたベートーヴェン若年期から中期の変奏曲10作の構成と演奏アプローチを把握できる
- オペラ・バレエ・民謡など多様な原曲(パイジェッロ、グレトリー、サリエリ等)をベートーヴェンがどのように変奏技法で展開したかを楽譜から読み取れる
- 各変奏曲の主題の性格——行進曲・メヌエット・アリエッタ——に応じた演奏スタイルの違いを習得できる
- イギリス民謡(『ゴッド・セーヴ・ザ・キング』『ルール・ブリタニア』)を素材とした愛国的変奏曲の様式的特徴を理解できる
- WoO作品番号体系と各曲の成立背景を関連付け、ベートーヴェンの変奏曲全体像を把握するための基礎を築ける
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 エルンスト・クリストフ・ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 WoO.63 — ベートーヴェンの最初期の変奏曲のひとつ。主題の行進曲的性格が変奏を通じてどう変容するかを追う入口として位置づけられる
- 第 2 章 カルル・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ『赤頭巾』のアリエッタによる13の変奏曲 WoO.66 — 13変奏という変奏数の多さが特徴。軽快なアリエッタを素材に多彩な書法を展開する
- 第 3 章 ヤーコプ・ハイベルのバレー『邪魔された結婚』のメヌエットによる12の変奏曲 WoO.68 — ヴィガノ様式のメヌエットを素材とし、舞曲的リズムの変形過程を観察できる
- 第 4 章 ジョヴァンニ・パイジェッロ歌劇『水車屋の娘』の主題による9つの変奏曲 WoO.69 — 当時の人気オペラからの借用主題。イタリア・オペラ様式との関係を読み解く素材として有益
- 第 5 章 グレトリー歌劇『獅子心王リチャード』の主題による8つの変奏曲 WoO.72 — 騎士的・英雄的な主題の性格が後期ベートーヴェンの英雄様式の萌芽を感じさせる
- 第 6 章 アントーニオ・サリエリ歌劇『ファルスタフ』の主題による10の変奏曲 WoO.73 — サリエリとの師弟関係を背景に読むと、主題選択の意味合いが立体的になる
- 第 7 章 ペーター・ヴィンターの歌劇『中止された犠牲祭』による7つの変奏曲 WoO.75 — 四重唱主題という声楽的起源を持ち、声部書法の転写がどう行われるかを把握できる
- 第 8 章 スースマイアー歌劇『ソリマン二世』の主題による8つの変奏曲 WoO.76 — モーツァルトの補筆完成者として知られるスースマイアーの旋律を素材にした珍しい作品
- 第 9 章 イギリス民謡『ゴッド・セーヴ・ザ・キング』による7つの変奏曲 WoO.78 — 愛国歌を素材にした民謡変奏の代表例。様式的な格調と親しみやすさが共存する
- 第 10 章 イギリス民謡『ルール・ブリタニア』による5つの変奏曲 WoO.79 — WoO.78と対をなす作品。変奏数が少ないコンパクトな構成であり、演奏会レパートリーへの導入に適している
ハイライト
- パイジェッロの歌劇『水車屋の娘』から——『いなかの愛ほど美しいものはない』を主題とする9つの変奏曲、グレトリーの歌劇『獅子心王リチャード』から——『燃える心』を主題とする8つの変奏曲(本書の収録作品の多様性——オペラ・バレエ・民謡という異なるジャンルを素材とする点——を端的に示す箇所)
編集メモ
Qiita記事の言及なし / 楽天ランキング情報なし。外部シグナルが確認できないため supplementary と判定。音楽之友社発行の専門楽譜集として長期流通しているが、定量的な需要シグナルは取得できていない
読む前に押さえておきたいこと
- ピアノの中級以上の読譜能力——変奏曲の各変奏に出現する装飾音・連符・跳躍を楽譜から直接読む力
- 基本的な音楽形式(変奏曲形式、三部形式、メヌエット)の知識
- ヘ音記号・ト音記号の双方を含む大譜表の読譜
学習のコツ
- WoO.78(ゴッド・セーヴ・ザ・キング)とWoO.79(ルール・ブリタニア)の2曲は変奏数が少なく構成が把握しやすいため、本書への入口として最初に取り組むと全体像が見えやすい
- 各曲の前に原曲(オペラ・バレエ等)の主題旋律を聴いておくと、ベートーヴェンが素材をどの程度改変したかを聴覚的に把握しやすくなる
- WoO番号は作品番号(Op.)とは別体系であるため、ベートーヴェン作品目録(カタログ)を参照しながら成立年順に読む追いかけ方も有効
出版社による内容紹介
1:エルンストクリストフドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 WoO.63 2:カルルディッタースフォンディッタスドルフのジングシュピール『赤頭巾』からの〜アリエッタ「昔ひとりの老人がいたとさ」による13の変奏曲 WoO.66 3:ヤーコプハイベルのバレー『邪魔された結婚』からの〜「ヴィガノふうのメヌエット」による12の変奏曲 WoO.68 4:ジョヴァンニパイジェッロの歌劇『水車屋の娘』からの〜「いなかの愛ほど美しいものはない」を主題とする9つの変奏曲 WoO.69 5:アンドレエルネストモデストグレトリーの歌劇『獅子心王リチャード』からの〜「燃える心」を主題とする8つの変奏曲 WoO.72 6:アントーニオサリエリの歌劇『ファルスタフ』からの〜「まさにそのとおり」を主題とする10の変奏曲 WoO.73 7:ペーターヴィンターの歌劇『中止された犠牲祭』からの〜四重唱「こどもよしずかにおやすみ」による7つの変奏曲 WoO.75 8:フランツクサーヴァージュースマイアーの歌劇『ソリマン二世あるいは3人のスルタンの妻」からの〜三重唱「ふざけてからかって」による8つの変奏曲 WoO.76 9:イギリス民謡「ゴッドセーヴザキング」による7つの変奏曲 WoO.78 10:イギリス民謡「ルールブリタニア」による5つの変奏曲 WoO.79
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。