ISBN 9784297140120

【改訂新版】システム障害対応の教科書

【改訂新版】システム障害対応の教科書
著者
木村 誠明
出版社
技術評論社
刊行
2024-04

概要

ITシステム障害対応の暗黙知を組織の形式知へ転換する

想定読者

インシデントコマンダーを担う・担う予定のITエンジニアや運用責任者、および障害対応体制を組織として整備したいチームリード

こんな人には向いていない

  • 特定の監視ツールや構成管理ソフトウェアの操作手順を求めている人(本書はツール選定の考え方を扱うが、製品固有の操作解説ではない)
  • 障害対応の実務経験がまったくなく、まずLinuxやネットワークの基礎を学びたい段階の人には前提知識が不足する
  • すでに成熟したSRE組織でAIOpsや高度な自動化を導入済みの現場には、基本プロセスの比重が大きく感じられる可能性がある

読了後にできるようになること

  • インシデントコマンダーが果たすべき役割と、発生から終息までの各フェーズで取るべき基本動作を体系的に説明できる
  • 障害状況ボード・タイムチャート・連絡先管理表など、現場で即使えるドキュメント一式の設計と運用方法を習得できる
  • War RoomダッシュボードやCMDBを活用した大規模障害のコントロール手法を理解できる
  • 組織の障害対応レベルを継続的に改善するための教育・訓練プログラム(訓練手法の選択・実施要領)を設計できる
  • ヒューマンエラーを防ぐ手順書の作成原則を理解し、既存手順書の改善に適用できる
  • エンドユーザ向け情報発信の目的・内容・方法を整理し、障害時のコミュニケーション設計に活かせる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 システム障害対応を学ぶ意義 — なぜ障害対応が暗黙知になりがちか、その構造的理由を整理する導入章
  • 第 2 章 システム障害の定義
  • 第 3 章 システム障害対応の登場人物と役割 — インシデントコマンダー・作業担当・ユーザ担当・CIOの役割分担を整理する最重要章のひとつ
  • 第 4 章 各プロセスの基本動作〜発生から終息まで — 検知・業務影響調査・原因調査・復旧・事後対応の5フェーズを網羅。実務直結度が高い
  • 第 5 章 障害対応に必要なドキュメント — 障害対応フロー図・オンコールシフト表・障害レベル管理表・状況ボード等のテンプレート的章
  • 第 6 章 システム障害対応力を高めるツールと環境 — War Room・CMDB・AIの活用を扱う。生成AI応用は改訂新版で追加された章
  • 第 7 章 組織の障害対応レベル向上と体制作り
  • 第 8 章 システム障害対応力の改善と教育
  • 第 9 章 教育と育成の手引き — 改訂新版で新設。スキルチェックシートを含む育成フロー設計に使える
  • 第 10 章 障害対応訓練の実施 — 改訂新版で新設。訓練手法の種類と選択基準を整理
  • 第 11 章 事故を防ぐ手順書の作り方 — 改訂新版で新設。ヒューマンエラー論を背景に手順書設計の原則を解説
  • 第 12 章 エンドユーザ向けの情報発信 — 改訂新版で新設。障害時の対外コミュニケーション設計を扱う

ハイライト

  • この書籍を中心に障害対応体制の策定を行なっていくことになります(実際に銀行系組織でインシデント対応フローをゼロ構築した著者が、本書を体制策定の中核として位置づけている箇所)
  • 個人的にも運用のバイブルにしている『システム障害対応の教科書』の著者である木村さんをお迎えし(PagerDuty Japanコミュニティ運営者が本書を『バイブル』と表現し、著者を招いた勉強会を開催した際の記述)

外部からの言及

  • 障害対応体制をゼロから構築するプロジェクトで、本書とSRE本を並べた上で本書を中心的参考書として選択したという報告が見られる。SRE本が文化・原則を扱うのに対し、本書は現場の手順・役割・ドキュメントまで踏み込んでいる点が選ばれる理由として挙げられている(qiita)
  • インシデント管理ツール(PagerDuty等)の実務者が個人の運用バイブルとして本書を位置づけており、著者を招いた勉強会でも生成AIと運用の接点を議論する場の背景知識として参照されている(qiita)
  • ヒューマンエラー防止の具体的根拠(指差呼称でエラーが1/6に減少するという研究データ)を引用するために参照されており、手順書設計や再発防止策の文脈で学術的裏付けの出典として使われている(qiita)

編集メモ

Qiita引用3件・累計likes 201。うち最上位記事(195 likes)が組織の障害対応体制をゼロから構築する際の中核参考書として位置づけており、PagerDuty Japan運営者が個人バイブルと呼ぶ言及もある。引用件数は5件未満のためessentialには届かないが、実務での採用実績が確認できる良書と判断

読む前に押さえておきたいこと

  • ITインフラ(サーバ・ネットワーク・クラウド)の基本的な仕組みと用語(本書は操作手順ではなく管理・判断の書なので、OS操作の深い知識よりも概念的理解があれば足りる)
  • 何らかのITシステムの運用・保守に携わった実務経験(完全未経験者には状況のイメージが難しい場面がある)
  • チームや組織の中で役割分担を意識した仕事の経験(プロジェクト管理・チームリード経験があると3〜7章の理解が大幅にスムーズになる)

学習のコツ

  • 3章(登場人物と役割)と4章(各プロセスの基本動作)は全体の骨格なので、まずこの2章を通読してから残りを読むと全体像が定着しやすい
  • 5章(必要ドキュメント)は手元の組織の既存ドキュメントと照合しながら読むと、不足している文書が即座に特定できる
  • 改訂新版で追加された9〜12章は、すでに障害対応の基本が確立した組織がレベルアップを図る際に参照する章として割り切ると効果的
  • Appendixの5ケーススタディは抽象的な概念を具体例で確認する素材として、各章学習後の復習に使うと理解が深まる
出版社による内容紹介

本書は、ITシステム障害対応の現場で必要なさまざまな知識とノウハウ(基本動作、ツール、必要ドキュメントなど)を体系化し、個人・組織のシステム障害対応力を向上させることを目的とした解説書です。障害対応を指揮する「インシデントコマンダー」や、実際に作業にあたる作業担当者が知っておくべき知識を解説するとともに、高い障害対応力を備えた組織作りについても紹介します。改訂新版では、チームメンバーの教育と育成、障害対応訓練実施のポイント、事故を防ぐ手順書の作り方、エンドユーザ向け情報発信についての章を新設しました。また、生成AI技術のシステム運用への応用についても紹介しています。 第1章◆システム障害対応を学ぶ意義 1.1 なぜシステム障害対応は暗黙知だったのか 1.2 上昇し続けるシステム障害対応の難易度 1.3 システム障害対応時に起こり得るさまざまな問題 第2章◆システム障害の定義 2.1 システム障害とは何か 2.2 システム障害対応の目的と定義 第3章◆システム障害対応の登場人物と役割 3.1 システム障害対応の登場人物の概要と体制 3.2 インシデントコマンダーの役割と基本動作 3.3 作業担当 3.4 ユーザ担当 3.5 CIO 第4章◆各プロセスの基本動作〜発生から終息まで 4.1 検知・事象の確認 4.2 業務影響調査 4.3 原因調査 4.4 復旧対応 4.5 イベントの確認/事後対応 第5章◆障害対応に必要なドキュメント 5.1 障害対応フロー図 5.2 オンコールシフト表と連絡先管理表 5.3 障害レベル管理表 5.4 障害状況ボード 5.5 作業タイムチャートシフト表 第6章◆システム障害対応力を高めるツールと環境 6.1 大規模システム障害のコントロール 6.2 システム監視ダッシュボード 6.3 War Roomダッシュボード 6.4 War Room 6.5 構成管理データベース(CMDB) 6.6 システム運用におけるAIの活用 第7章◆組織の障害対応レベル向上と体制作り 7.1 障害対応レベルの維持・向上 7.2 障害対応を担う組織や体制 第8章◆システム障害対応力の改善と教育 8.1 組織の障害対応力の継続的な改善 8.2 教育と訓練 第9章◆教育と育成の手引き 9.1 作業担当とインシデントコマンダーに必要な能力 9.2 障害対応チームの育成の流れ 9.3 障害対応力スキルチェックシート 第10章◆障害対応訓練の実施 10.1 訓練手法の種類と適切な選択 10.2 訓練の実施要領 第11章◆事故を防ぐ手順書の作り方 11.1 ヒューマンエラーとは 11.2 ヒューマンエラーを防ぐ手順書の作成 第12章◆エンドユーザ向けの情報発信 12.1 エンドユーザ向けの情報発信の目的と内容 12.2 エンドユーザ向けの情報発信の方法 Appendix◆難易度の高いシステム障害ケース ケース1 ビジネスロジックアプリケーション障害と「誤データの波及」 ケース2 インフラ障害における機器の「半死」 ケース3 大規模インフラ障害と「伝言ゲーム」 ケース4 キャパシティ障害 ケース5 災害時のコントロール〜3.11のふりかえり

この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。

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