ISBN 9784320124622
量子コンピュータによる機械学習
概要
量子力学と機械学習の交差点を数学的基礎から体系的に習得する
想定読者
機械学習または量子コンピュータのいずれかに習熟しており、両分野の橋渡しを目指す研究者・大学院生・企業の開発者
こんな人には向いていない
- 機械学習も量子力学も未経験の初学者(どちらか一方の基礎なしに読み進めるのは困難)
- 量子コンピュータの実装・運用に即戦力な手引きを求める実務者(本書は理論的枠組みの習得が主眼)
- 特定のゲート式または量子アニーリングのどちらか一方に特化した深掘りを求める読者
読了後にできるようになること
- 量子力学の必要最小限の数学的記述(ブラ・ケット記法、密度行列)を機械学習文脈で運用できる
- ゲート式・アニーリング式の双方を包括した量子機械学習の主要手法の全体像を把握できる
- 量子データエンコーディングの各方式(振幅・角度など)の選択根拠を説明できる
- 量子カーネル法・量子ニューラルネットワークといった研究上の重要起点を自力で辿れる
- 読後に論文の最前線へアクセスするための用語・記号体系が定着する
ハイライト
- 量子コンピュータの登場により、量子力学は学ぶ内容や道筋について再考が求められているときに来ているだろう。機械学習においてもだいぶその数理的内容が網羅的に整備された後であることを考えると、コンパクトにまとめて両者の関係を見つめながら学ぶのにもっとも効率的な時期を迎えていると個人的に強く思う。(監訳者まえがきより。両分野の学習タイミングについての独自の見立てが最も端的に示されている箇所)
- いわゆるゲート式、アニーリング式のどちらに偏ることもなく、これまでの研究で重要な起点、進展の重要なところを取り上げており、読み終わった後に現在の研究の最前線においても陳腐化しない知識を抑えることができる。(両パラダイムをカバーする本書の構成的特徴を示す記述)
外部からの言及
- 2020 年刊行の量子コンピュータ関連書籍を紹介するリンク集・一覧記事において、本書は『専門書』レベルに分類され、機械学習と量子コンピュータ双方の基礎知識を事前に持たない読者には難度が高いという注記が付いている(qiita)
- 量子ウォークを用いた探索アルゴリズムの実装解説記事で参考文献として引用されており、量子アルゴリズムの機械学習応用例を調べる際のリファレンスとして機能している(qiita)
編集メモ
Qiita 言及確認 3 件(合計 likes 約 38)。いずれもリンク集・書誌一覧での引用にとどまり、実装解説での参照は 1 件のみ。量子機械学習というニッチ領域の専門書として相応の存在感はあるが、Qiita エコシステムでの参照密度は低い
読む前に押さえておきたいこと
- 線形代数(行列演算・固有値・内積)の基礎
- 機械学習の基本モデル(線形回帰・サポートベクタマシン・ニューラルネットワーク)の概念的理解
- 複素数の演算(虚数単位・共役・絶対値)に対する抵抗感のなさ
- 量子力学の事前知識は必須ではないが、物理の素養があると量子状態の直観が身につきやすい
学習のコツ
- 機械学習バックグラウンドの読者は、第 1 部の量子力学章を飛ばさず精読することを勧める。本書の量子力学解説は従来教科書より簡潔に整理されており、後の量子機械学習手法を理解する伏線として機能している
- 量子コンピュータバックグラウンドの読者は、前半の機械学習の概観を読む際に『自分が知っている古典的手法に量子を接続するとどうなるか』を問い続けながら読むと、後半の量子機械学習手法への接続が自然になる
- ゲート式とアニーリング式を横断的に扱う珍しい構成のため、読了後は自分の実務・研究に関係する方式の論文に進むと、本書で得た共通言語が役立つ
出版社による内容紹介
量子機械学習は,量子力学に基づく計算手法という新しい概念と,近年隆盛をむかえる機械学習の両者が相まって非常に興奮を覚える新しい分野に感じられる。しかしその基礎を押さえた書籍は意外なことに少ない。研究内容を紹介するような文献はいくつか見られるものの,両者の初学者が手にとり,そしてお互いの分野を知り,橋渡しをするような本当に求められている人材を育成するような教科書になる文献は存在しなかった。 本書は,機械学習の概観を知り,しかし優しい言葉でわかったような気になるのではなく,量子機械学習の枠組みに昇華させるために必要な数学的な要素や用語を押さえて,後で納得感が得られる伏線がしっかりと張られた心地よい構成になっている。量子力学の説明にしても,従来の教科書の記述が冗長であると喝破して,必要最小限の記述で,直接的に量子コンピュータ,量子機械学習へのガイドとなっているところは,急速に進化するこの分野における教科書としての位置付けが明確である証左とも言える。いわゆるゲート式,アニーリング式のどちらに偏ることもなく,これまでの研究で重要な起点,進展の重要なところを取り上げており,読み終わった後に現在の研究の最前線においても陳腐化しない知識を抑えることができる。 本書はそうした量子機械学習の研究を始めるにあたり,それぞれの分野の研究者を始め,企業の開発者,大学院生,学部生が読み進めるのにちょうど良い難易度で,バランスよく両分野を意識した配置で書かれた良書である。 「量子機械学習,ないしは量子コンピュータの研究は,言葉だけを受け取ると障壁が高いように感じられる。しかしながらその正体は,両者の分野の過不足のない洗練された内容を学ぶチャンスと言える。両者ともに歴史が古いようで数学や物理学の多くの分野とは異なり,まだ新しい。特に量子コンピュータの登場により,量子力学は学ぶ内容や道筋について,再考が求められているときに来ているだろう。機械学習においてもだいぶその数理的内容が網羅的に整備された後であることを考えると,コンパクトにまとめて両者の関係を見つめながら学ぶのにもっとも効率的な時期を迎えていると個人的に強く思う。本書はそういう背景も踏まえて,だいぶスムーズに基礎的な事柄について学ぶこともできるため,どちらの分野にとっても有益で,相補的な書籍になることが期待できる。」 (監訳者まえがき より)
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。