ISBN 9784339028942

暗号ハードウェアのセキュリティ

暗号ハードウェアのセキュリティ
出版社
コロナ社
刊行
2019-05

概要

暗号ハードウェアへの物理攻撃を理論から実践まで体系的に理解する

想定読者

組み込み機器・ICカード・HSM などの暗号実装に携わるハードウェアセキュリティエンジニア、または暗号理論を実装レベルで学びたいセキュリティ研究者

こんな人には向いていない

  • ソフトウェアレイヤのみで暗号を扱うWebアプリ開発者には実装事例が遠い
  • 数学的基礎(有限体演算・楕円曲線の群論)をまだ習得していない初学者には第2・3章の数式密度が高い
  • サイドチャネル攻撃の対策ツールや自動化フレームワークを求める実務者には手法の原理解説が中心で実装コードは少ない

読了後にできるようになること

  • AES・RSA・ECC の各ハードウェア実装において、有限体演算・剰余演算がどのように回路に落とし込まれるかを説明できる
  • サイドチャネル攻撃のリーケージ発生メカニズムをモデル化し、相関電力解析(CPA)の手順を理解できる
  • フォールト攻撃がRSAおよびAES実装に対してどのように鍵情報を引き出すかの原理を説明できる
  • マイクロアーキテクチャ(キャッシュ)を悪用したサイドチャネル攻撃の全体像と代表的な攻撃手法を把握できる
  • 物理攻撃への対策設計において、攻撃モデルと防御手法を対応付けながら選択できる
  • 暗号モジュールが置かれる敵性利用環境(非信頼環境)での脅威モデルを構築できる

本書のキー概念(章解説)

  • 第 1 章 暗号技術と暗号ハードウェアへの脅威 — 暗号プリミティブの概要と、ハードウェア実装固有の脅威を整理する導入章。他章を読む前に通読しておくと位置づけが明確になる
  • 第 2 章 共通鍵暗号の実装 — AES と有限体演算を扱う。数学的な背景が必要な章で、第3章と合わせて実装基礎を固める
  • 第 3 章 公開鍵暗号の実装 — RSA・ECC のハードウェア実装。剰余演算アルゴリズムの詳細が中心で、第5・6章の攻撃理解の前提になる
  • 第 4 章 暗号モジュールへの脅威と対策 — 物理攻撃の分類と対策の全体地図。設計判断のチェックリストとして繰り返し参照できる章
  • 第 5 章 サイドチャネル攻撃 — リーケージモデル・信号処理・相関電力解析(CPA)を順に展開。本書の核心であり、最も時間をかけて読む価値がある
  • 第 6 章 フォールト攻撃 — RSA・AES それぞれへのフォールト攻撃の原理。第2・3章の実装知識が前提になるため、順序通りに読むことを推奨
  • 第 7 章 マイクロアーキテクチャへのサイドチャネル攻撃 — キャッシュ攻撃を軸にCPUアーキテクチャレベルの攻撃を扱う。Spectre系脆弱性の基礎理解に直結する章

ハイライト

  • 社会インフラの安全・安心を支えるハードウェアのセキュリティ技術を基礎から解説する。暗号処理を行うハードウェアの物理攻撃や安全性解析を中心に,セキュリティエンジニアに必要となる知識を理論から実践まで網羅する(本書の射程が『暗号理論』ではなく『物理的に攻撃されるハードウェア』に置かれていることを端的に示す記述)

編集メモ

Qiita での本ISBN直接引用は確認できず(検索0件)。楽天ランキング情報も入力なし。国内でハードウェアセキュリティを日本語で体系的に扱う専門書は少なく、電通大の研究者3名が著者という信頼性はあるが、外部言及シグナルが乏しいため supplementary と判定する

読む前に押さえておきたいこと

  • AESや RSA のアルゴリズムを概念レベルで知っていること(実装は不要だが仕組みは把握済みであること)
  • 線形代数・剰余演算の基本(有限体の概念を見たことがある程度で十分)
  • ハードウェア記述言語や組み込みシステムの経験は必須ではないが、あると第2・3章の実装イメージが具体化する

学習のコツ

  • 第1章でハードウェア脅威の全体像を把握した後、第5章(サイドチャネル攻撃)を早めに読むと、第2・3章の実装詳細が『なぜこの設計が攻撃対象になるか』という視点で読めるようになる
  • 第5章の相関電力解析(CPA)は、信号処理と統計の節(5.4)を丁寧に読んでから5.5に進むと数式の意味がつかみやすい
  • 第7章はMeltdown/Spectreなどのマイクロアーキテクチャ脆弱性の基礎として読むことができ、ソフトウェアセキュリティエンジニアが参照する際もこの章単体で価値がある
  • 本書は190ページとコンパクトなため、各章末に記載されている参考文献を手元に置きながら読み進めると理解が深まる
出版社による内容紹介

本書は,社会インフラの安全・安心を支えるハードウェアのセキュリティ技術を基礎から解説する。暗号処理を行うハードウェアの物理攻撃や安全性解析を中心に,セキュリティエンジニアに必要となる知識を理論から実践まで網羅する。 ★主要目次★ 1. 暗号技術と暗号ハードウェアへの脅威  1.1 はじめに  1.2 暗号技術の概要  1.3 ハードウェア実装される代表的な暗号プリミティブ  1.4 暗号アルゴリズムの安全性  1.5 暗号ハードウェアへの脅威 2. 共通鍵暗号の実装  2.1 共通鍵暗号方式  2.2 AES暗号  2.3 有限体の演算 3. 公開鍵暗号の実装  3.1 公開鍵暗号方式  3.2 基本的な算術演算  3.3 基本的な剰余演算アルゴリズム  3.4 RSA暗号の実装  3.5 ECCの実装 4. 暗号モジュールへの脅威と対策  4.1 物理攻撃とは  4.2 暗号モジュールとその利用例  4.3 敵性の利用環境  4.4 物理攻撃への対策 5. サイドチャネル攻撃  5.1 サイドチャネル攻撃とは  5.2 ブロック暗号へのサイドチャネル攻撃の概要  5.3 リーケージの発生メカニズムとモデル化  5.4 信号処理と統計  5.5 相関電力解析  5.6 対策法 6. フォールト攻撃  6.1 フォールト攻撃の概要  6.2 RSA暗号へのフォールト攻撃  6.3 AES暗号へのフォールト攻撃 7. マイクロアーキテクチャへのサイドチャネル攻撃  7.1 攻撃の全体像  7.2 キャッシュ攻撃の例  7.3 アクセスベースのキャッシュ攻撃

この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。

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