ISBN 9784492315149
アセモグル/レイブソン/リスト 入門経済学
概要
最適化・均衡・経験主義の3原理でミクロ・マクロを横断的に学ぶ
想定読者
経済学を体系的に学びたい学部生・社会人。理論の暗記より現実の経済現象を理解することを優先したい読者
こんな人には向いていない
- 数式展開を丁寧に追いたい読者には、本書は直感的説明を優先するため理論的厳密さが物足りない場合がある
- すでに同等レベルの経済学テキスト(マンキュー等)を一冊通読済みの読者には内容が重複する
- 経営・会計・法律など隣接分野の知識として経済学の概要のみを把握したい読者には582頁は情報量が過剰になりやすい
読了後にできるようになること
- 最適化の原理を用いて、消費者・生産者が可能な選択肢の中で最善を選ぶ意思決定を説明できる
- 均衡の概念を需要・供給のフレームに落とし込み、価格メカニズムの働きを記述できる
- 実験経済学・行動経済学の成果を取り込んだ『根拠に基づく経済学』の視点で、現実データから政策の効果を評価する姿勢を身につけられる
- GDP・雇用・金融システム・景気変動などマクロ経済の主要指標を一貫した理論フレームで理解できる
- 貿易・競争・インセンティブといったミクロの基礎概念とマクロの集計量を、同一テキストで往来しながら統合的に学べる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 経済学の原理と実践 — 3原理(最適化・均衡・経験主義)を概観する導入章。本書全体の読み方を把握するために最初に通読する
- 第 2 章 経済学の方法と問い — 因果関係の識別・実験・自然実験など経験主義の方法論を扱う。データで主張を検証する思考の基礎
- 第 3 章 最適化:最善をつくす — 費用便益分析・限界分析の考え方を習得する章。消費者・生産者行動の土台
- 第 4 章 需要、供給と均衡 — 市場の価格メカニズムを均衡の原理で説明する。第1部の締めくくりとして頻繁に参照される核心章
- 第 5 章 消費者とインセンティブ — 消費者余剰・価格弾力性・税負担などミクロ分析の道具を実際の政策問題に当てはめる
- 第 6 章 生産者とインセンティブ — 費用構造・利潤最大化・市場退出条件を扱う。第5章と対で読むと需要と供給の両面が揃う
- 第 7 章 完全競争と見えざる手 — 市場の効率性と厚生損失を論じる章。政府介入の根拠を評価するための必須フレーム
- 第 8 章 貿易 — 比較優位・貿易の利益・保護主義の費用を扱う。国際経済学の入口として位置づけられる
- 第 9 章 国の富:マクロ経済全体を定義して測定する — GDPの定義・測定・限界を学ぶマクロ入門章。以降の章は全てこの測定概念を前提とする
- 第 10 章 総所得 — 所得・支出・生産の3面等価と景気動向の読み方
- 第 11 章 経済成長 — 生産性・資本蓄積・技術進歩を長期成長モデルで説明する
- 第 12 章 雇用と失業 — 摩擦的失業・構造的失業・需要不足失業を区別し、労働市場政策の設計に役立てる視点を獲得できる
- 第 13 章 クレジット市場 — 金融仲介・金利決定・貸し渋りのメカニズムを扱う。金融危機分析の前提として重要
- 第 14 章 金融システム — 銀行・中央銀行・金融政策の仕組みを解説。金融危機後の経済学的教訓を反映した章
- 第 15 章 景気変動 — 総需要・総供給フレームで景気サイクルを分析する。第1〜14章の統合章として最後に通読すると理解が定着する
ハイライト
- 経済学の考え方はシンプルなものでありながら、世界の出来事を説明し、予測し、改善するうえでとても役に立つ。それを知ってもらおうと思い、私たちは本書を執筆した(原著者まえがきから引かれた本書の執筆動機。理論習得より現実理解を優先する本書の立場が端的に示されている)
- 本書の特徴は、『新しい』と『やさしい』である。経済学の最先端で議論されているような最新のトピックが、教科書の中核に取り入れられている(監訳者まえがきからの引用。最先端性と平易さを両立する構成が本書の差別化点を端的に示している)
編集メモ
Qiita言及記事0件・qiita_total_likes 0件。楽天ランキング情報なし。外部シグナルを確認できないためsupplementaryとする。世界的な教科書の日本語版であり出版社(東洋経済新報社)の権威はあるが、数値根拠が取得できない
読む前に押さえておきたいこと
- 高校数学レベルのグラフ読解と比例・傾きの概念(需要曲線・供給曲線の傾きを視覚的に解釈するために使用)
- 経済学の前提知識は不要。本書は入門書として設計されており、専門用語は都度定義される
学習のコツ
- 第1〜4章(第1部)を最初に通読して3原理の感覚を掴んでから、第2部・第3部の各論に進む。各論で詰まったら第1部に戻ると理解が整理される
- 各章末の『根拠に基づく経済学』コラムと『データは語る』コラムは、本文理解後に必ず読む。理論と現実データの接続が本書の最大の学習価値であり、コラムを飛ばすと半分しか学べない
- ミクロ(第2部)とマクロ(第3部)は独立して読めるが、第4章(需要・供給・均衡)を両部の共通基礎として繰り返し確認すると縦断的な理解が深まる
- 同著者の上位書『ミクロ経済学』『マクロ経済学』が手元にある場合は、本書で概要を掴んでから各論で深掘りするという使い分けが効率的
- 第9〜15章のマクロパートは金融危機後の議論を反映した最新内容を含む。時事ニュース(中央銀行政策・景気動向)と照らし合わせながら読むと抽象概念が定着しやすい
出版社による内容紹介
本書・入門経済学を刊行するにあたっては、同じ原著者たちによる『ミクロ経済学』『マクロ経済学』から、経済学の基本となる概念を学ぶための15章をピックアップして再構成がなされました。 第1部(1章から4章)は経済学一般に共通する基本知識です。 第2部(5章から8章)はミクロ経済学の基礎にあたります。最先端の実験経済学の成果も取り入れた「新しい」経済学を学びます。 第3部(9章から15章)はマクロ経済学の基礎です。金融危機以降に書き換えが迫られている経済学にも対応する「新しい」内容となっています。 本書を含む『アセモグル/レイブソン/リスト 経済学シリーズ』を原著者たちは以下のように位置づけています。 経済学の考え方はシンプルなものでありながら、世界の出来事を説明し、予測し、改善するうえでとても役に立つ。 それを知ってもらおうと思い、私たちは本書を執筆した。 ーー原著者「まえがき」 その目的を実現するために、テキストでは3つの原理と3種類のコラムが採用されました。 ●人間行動を理解するうえでの経済学のアプローチの核心である3つの原理 「最適化」:人々は可能な選択肢の中で最善のものを選ぼうとする 「均衡」:最適化の原理を拡張することによって均衡は導き出される 「経験主義」:どのように現実のデータを用いて具体的な問題の解決策を示すのかを描く ●現実社会の問題を直観的に理解することを目的とする3種類のコラム 「根拠に基づく経済学」(EBE):どのように現実のデータを用いるのかを考える 「データは語る」:現実のデータを議論の根幹に据える 「選択の結果」:最適化の原理を扱うための経済的意思決定の問題を考える また、テキストの特徴を監訳者は以下のように述べています。 本書の特徴は、「新しい」と「やさしい」である。 経済学の最先端で議論されているような最新のトピックが、教科書の中核に取り入れられている。 本書では、理論を学ぶことが優先ではなく、経済を理解するために、経済学を学ぶことが優先である。 また取り上げる課題の多くは、経済に起こった現象の原因と結果の解明である。 ーー「監訳者まえがき」 学生にとっても身近な「フェイスブック」が無料でサービスを提供している理由は何なのでしょうか? その背景を経済学で解き明かすことから本書はスタートします。 まさに「経済を理解するために経済学を学ぶことが優先」されたテキストです。無料で提供されているという「経済に起こった現象の原因と結果を解明」する経済学です。 本書の読後には、現実の経済社会に対する見方は違ったものになっていることでしょう。 第1部 経済学への誘い 1章 経済学の原理と実践 2章 経済学の方法と問い 3章 最適化:最善をつくす 4章 需要、供給と均衡 第2部 ミクロ経済学の基礎 5章 消費者とインセンティブ 6章 生産者とインセンティブ 7章 完全競争と見えざる手 8章 貿易 第3部 マクロ経済学の基礎 9章 国の富:マクロ経済全体を定義して測定する 10章 総所得 11章 経済成長 12章 雇用と失業 13章 クレジット市場 14章 金融システム 15章 景気変動
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。