ISBN 9784535559868
最後通牒ゲームの謎 : 進化心理学からみた行動ゲーム理論入門
概要
最後通牒ゲームを軸に人間の非合理的行動を進化心理学で読み解く
想定読者
経済人モデルでは説明しきれない人間行動の原理を、実験経済学と進化心理学の両面から学びたい読者。高校生から社会科学の研究者まで対象を広げた学際的入門書を探している人に向きます。
こんな人には向いていない
- ゲーム理論の数理モデル(均衡解の計算や証明)を体系的に学びたい読者には、本書は実験結果と心理メカニズムの解説に比重があり物足りません
- 進化心理学の最新の論争(利他罰の解釈など)を批判的に検討したい中上級者には、踏み込みがやや浅い箇所があります
読了後にできるようになること
- 最後通牒ゲーム・独裁者ゲームの実験結果が、なぜ経済学の予測から外れるのかを説明できる
- 「目」や「評判」への配慮が分配行動をどう変えるか、観察者効果の研究を整理して語れる
- 不公平への怒りや第三者罰が、損をしてでも相手を罰する行動として現れる理由を理解する
- 裏切り者検知やエラー管理理論など、進化の過程で形づくられた心の仕組みを把握する
- 一見非合理に見える行動を、適応合理性と協力行動の進化という枠組みで捉え直せる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 謎解きの道具
- 第 2 章 ホモ・エコノミクスを探して — 見知らぬ人との分配実験から、経済人モデルのズレを体感する導入章
- 第 3 章 「目」と「評判」を恐れる心 — 独裁者ゲームと観察者の目。なぜ独り占めしないのかを評判から説明する
- 第 4 章 不公平への怒り — 損をしてでもノーと言う心理。第三者罰まで踏み込む実務的な核
- 第 5 章 脳に刻まれた「力」 — 裏切り者検知とエラー管理理論。進化心理学の道具立てが集約される章
- 第 6 章 進化の光 — 適応合理性と協力行動の進化として全体を回収する
ハイライト
- 最後通牒ゲームを題材として、進化心理学の考え方を使い、経済人ではない人間行動の原理に迫る。観察者の目、裏切り者検知、不公平への怒りといった、ゲーム実験から見えてきた心の働きを束ねていく(本書が扱う題材と分析の切り口が端的にまとまっている箇所)
外部からの言及
- 進化心理学を専門とする書評ブログでは、目の効果・裏切り者検知・4枚カード問題などの研究を多面的かつ明晰に整理した網羅的な入門書として評価される一方、最後通牒ゲームの拒否を利他罰と単純化する解釈や、進化的説明が補足に逃げている点への留保も指摘されている(blog)
- 出版社・経済教育系の紹介では、経済学・行動経済学・進化心理学を横断し、人間は愚かなのではなく進化の過程で適応的な心を獲得しているという視座を、高校生から専門家まで読める形で提示した学際的入門書として紹介されている(other)
編集メモ
Qiita 引用 0 件 / 楽天ランキング履歴なし(IT 系外部シグナルの対象外ジャンル)。専門書評ブログ・出版社・経済教育系サイトで丁寧な紹介が確認できるため、行動経済学・進化心理学領域の補完的な選択肢として位置づけ
読む前に押さえておきたいこと
- 最後通牒ゲーム・独裁者ゲームといった基本的なゲームの設定を知っているとスムーズですが、本書内でも丁寧に説明されます
- ホモ・エコノミクス(経済人)という前提と、それが現実の行動とずれるという問題意識への関心
学習のコツ
- 第2章の分配実験を自分の直感と照らし合わせてから読み進めると、以降の進化心理学的説明が腑に落ちやすくなります
- 第4章(不公平への怒り・第三者罰)と第5章(裏切り者検知・エラー管理理論)が議論の核なので、急ぐ場合はここを中心に読む価値があります
- 本文と並行して各章末のコラムや巻末の「ゲームの詳細補足」を参照すると、公共財ゲーム・囚人のジレンマ・信頼ゲームとの関係を整理できます
出版社による内容紹介
最後通牒ゲームを題材として、進化心理学の考え方を使い、「経済人」ではない人間行動の原理に迫る。 第1章 謎解きの道具 第2章 ホモ・エコノミクスを探して 2-1 見知らぬ人と分かちあう 2-2 実験:やってみなくちゃわからない! 第3章 「目」と「評判」を恐れる心ーーなぜ独り占めしようとしないのか? 3-1 独裁者ゲーム:ノーとはいわせない! 3-2 観察者の目:見てるぞ〜〜〜 3-3 絆と孤独はアメとムチ コラム:孤独について 3-4 独裁者ゲーム:バリエーション コラム:奇妙な(WEIRD)……?人々 第4章 不公平への怒りーーなぜ損をしてまでノー!というのか? 4-1 アンフェアは許せない!! 4-2 損をしてでも罰したい!! 4-3 罰の甘き喜び コラム:男の子はヒーローがお好き!? 4-4 第三者罰7 4-5 見えざる手がもつ諸刃の剣 第5章 脳に刻まれた「力」--裏切り者は、見つけられ、覚えられ、広められる 5-1 裏切り者を見つける力 5-2 裏切り者を覚え伝える力 5-3 エラー管理理論 コラム:エラー管理理論の応用1:行為者への敏感さ コラム:エラー管理理論の応用2:初対面の人への「無難な」ふるまい 5-4 ゲームからわかってきたこと 第6章 進化の光 6-1 適応合理性 コラム:進化の中の肥満 6-2 協力行動の進化 コラム:自粛警察 あとがき もっと勉強したい方へ ゲームの詳細補足ーー公共財ゲーム・順序付き囚人のジレンマゲーム・信頼ゲーム 引用文献
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