ISBN 9784621061220

パターン認識と機械学習 上 : ベイズ理論による統計的予測

パターン認識と機械学習 上 : ベイズ理論による統計的予測
出版社
丸善出版
刊行
2012-05

概要

ベイズ理論を軸に機械学習の数学的基盤を体系的に理解する

想定読者

アルゴリズムを「使える」段階から「なぜ機能するか導出できる」段階へ進みたい研究者・エンジニア。確率統計と線形代数の基礎を持ち、機械学習の理論的背景を体系的に習得したい人

こんな人には向いていない

  • scikit-learnなどのライブラリで実装スキルを早期に身につけたい実務者には、数学的導出の比重が実用に対して重く、学習コストに見合いにくい
  • ディープラーニングの現代的手法(Transformer・拡散モデル等)を直接学びたい人には、本書のニューラルネットワーク解説が2006年出版時点の内容に留まるため応用範囲が限られる
  • 線形代数・微積分・確率論の基礎が未固まりな段階で読み始めると、第2章の確率分布の時点で消化不良になりやすく、別途数学の補強が先決になる

この本で身につくこと

  • ベイズ推定の枠組みを用いてモデルパラメータの事後分布を導出し、予測の不確実性を定量化できる
  • 最尤推定・MAP推定・完全ベイズ推定の違いを数式レベルで説明し、問題の性質に応じて選択できる
  • 線形回帰・ロジスティック回帰をベイズ的視点で再解釈し、過学習と正則化を確率論的に理解できる
  • カーネル法(RBFカーネル・多項式カーネル)の数学的基盤を理解し、SVMやガウス過程との接続を把握できる
  • EMアルゴリズムの導出を追い、混合ガウスモデルへの適用を理解できる
  • 行列微分・多変数確率分布を含む数学的導出を自力で追う読解力を養える

ハイライト(外部からの言及)

5名の監訳者のもと、選りすぐられた日本人研究者達14名によって丁寧に訳出。ベイズ理論に基づいた統一的な視点から、機械学習とパターン認識の様々な理論や手法を解説。 — 出典

「統一的な視点」という語が本書の核心を示す。各アルゴリズムがバラバラに存在するのではなく、ベイズ確率の枠組みで接続されているという編集方針を原文が端的に表している

機械学習初心者にPRMLを勧めるよりはひどくはないものの、似たような感じがするので、はじめにこれ読んで「わけわかんねぇ」と思っても多分正常です。むしろこれ最初に読んで理解できた方はすごいです。 — 出典

1年でML未経験から論文実装レベルに達した著者が、別の難書とPRMLの難易度を対比した一節。「初見で理解できないのは正常」という観察は、既存ハイライトが伝える設計思想とは別に、読み始めるタイミングと心構えの判断材料を与える

もし内容が難しすぎて理解できないという場合、数学の基礎力が足りていない可能性があります。その場合は大学・高校の数学の教科書を取り出して復習すると良いでしょう。 — 出典

PRMLを「聖書とも言える必読書」と位置づけた著者が、読解に詰まる原因を「内容の難しさ」ではなく「前提数学力の不足」と診断した言葉。購入前に自分の数学基盤を点検するという具体的な視点を加える

読了後にできること

Before(読む前): SVMや線形回帰を実装して動かせるが、損失関数の選択理由・正則化係数の意味・モデル選択の根拠を数学的に説明できない

After(読み終えた後): ベイズ的枠組みで各アルゴリズムの導出を追い、前提条件・モデルの限界・ハイパーパラメータの確率論的意味を自分の言葉で説明できる

章立て

第1章 序論

確率論・決定理論・情報理論の基礎を整理する導入章。後続章すべての前提として必読

第2章 確率分布

ベルヌーイ・多項・ガウス分布など本書全体で繰り返し参照される分布の性質を体系化

第3章 線形回帰モデル

ベイズ的な視点を含む線形回帰の徹底解説。第6章カーネル法・第10章ベイズと組合せて参照する基礎

第4章 線形識別モデル

ロジスティック回帰など分類問題の決定境界の理論的扱い

第5章 ニューラルネットワーク

本書上巻の到達点。バックプロパゲーション・正則化・ベイズニューラルネットまで扱う

関連記事 / 参考情報

学習のヒント

  • 第2章(確率分布)を十分に消化してから先に進むことが最大のコツ。ガウス分布・ベータ分布・ディリクレ分布の性質を手を動かして確認しておくと、以降の章での見通しが格段に向上する
  • 行列微分の公式集(「ベクトルで微分・行列で微分 公式まとめ」等)を手元に置き、導出に詰まったら参照しながら読み進める。公式を都度ゼロから導くより、論理構造を追う時間に集中した方が定着が早い
  • 各章の核心アルゴリズムを最小限のコードで実装してみると、数式が具体的なプロセスとして定着する。Qiita に公開されている実装解説記事を補助に使うと独習の継続率が上がる
  • 演習問題は全問解くより、各章の冒頭2〜3問を解いて理解の穴を確認する目的で使うと効率的。詰まる設問がその章で理解不足の箇所を直接示してくれる

前提知識

  • 線形代数の基礎:行列演算・行列式・固有値分解・特異値分解
  • 微積分の基礎:偏微分・多変数関数の最大化・テイラー展開・ラグランジュ乗数法
  • 確率・統計の基礎:条件付き確率・ベイズの定理・主要な確率分布(正規・ベルヌーイ・二項・ポアソン・ガンマ)
  • 数値計算ライブラリ(NumPy等)を使った行列演算の実装経験があると、理解を実装で確認するサイクルが回しやすい

次に読む本

パターン認識と機械学習 下

上巻で確立したベイズ確率の枠組みを前提に、グラフィカルモデル・MCMCサンプリング・変分ベイズ・PCAなどを展開する。上巻の理論が「どこで機能するか」を確認する段階として、上巻読了直後に着手するのが自然な読み進め順序

ガウス過程と機械学習

上巻第6章でカーネル法の数学的基盤を把握した後、ガウス過程の予測区間推定・ハイパーパラメータ最適化を実装レベルで習得するための発展書。PRMLが理論の枠組みを与える段階なら、本書はその枠組みを実データ適用まで橋渡しする位置づけにある

統計的学習の基礎(The Elements of Statistical Learning)

PRMLがベイズ確率の枠組みで各アルゴリズムを統一的に解説するのに対し、ESLは正則化・ブースティング・Random Forestなど頻度論的手法を体系化している。両書を並読することで、同一アルゴリズムを確率論・最適化の2つの視点から説明できるようになる

深層学習(Ian Goodfellow et al. 日本語版)

PRML第5章のニューラルネットワーク解説は2006年出版時点の内容に留まるため、深層学習の現代的手法(CNN・RNN・GAN等)はカバーされない。PRMLで確率的基盤を固めた後に本書を読むと、活性化関数・正則化・最適化の設計選択が確率論的文脈で理解できる

出版社による内容紹介

2006年出版以来、amazon.comの人工知能部門で世界的トップセラーとなり、たちまち4刷となった英語版原著Pattern Recognition and Machine Learning、待望の日本語版。5名の監訳者のもと、選りすぐられた日本人研究者達14名によって丁寧に訳出。ベイズ理論に基づいた統一的な視点から、機械学習とパターン認識の様々な理論や手法を解説。

この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。

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