ISBN 9784753310753
事例で学ぶアセスメントとマネジメント : こころを考える臨床実践
概要
精神分析理論を基盤に多職域の心理臨床でアセスメントとマネジメントを実践する
想定読者
臨床心理士・公認心理師として複数の職域(クリニック・学校・児童養護施設・精神科病院)で実践力を高めたい初期〜中堅のキャリア層
こんな人には向いていない
- 心理学の基礎知識がまだ身についていない学部入門レベルの学習者には理論編の密度が高すぎる
- 認知行動療法やブリーフセラピーを主軸とする実践者には、精神分析的アプローチとの前提が大きく異なるため齟齬を感じやすい
- 職域を1か所に絞って深掘りしたい読者には4事例の横断的構成が分散した印象を与える可能性がある
読了後にできるようになること
- クリニック・学校・児童養護施設・精神科病院の4職域における力動的アセスメントの実際の進め方を学べる
- 精神分析の転移概念(T-P-O連結)と治療構造論を臨床現場で応用する判断基準を身につけられる
- 見立てを言語化し関係者と共有するマネジメントのプロセスを事例検討会の形式で追体験できる
- 治療0期の『耕し』と『治水』という初期介入の枠組みを自分の実践に取り込める
- 精神分析的自己を内在化していくキャリア上の問いを先達のコラムから多角的に受け取れる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 第1部 事例編 — 心療内科クリニック内カウンセリングルームでのケース — 臨床歴2年の女性心理士の視点から始まり、事例検討会の雰囲気を最初につかむのに適した章
- 第 2 章 第1部 事例編 — スクールカウンセラーのケース — 学校という多職種連携環境でのマネジメント実践を扱う
- 第 3 章 第1部 事例編 — 児童養護施設のケース — 施設という生活場面での心理支援の固有性を学べる
- 第 4 章 第1部 事例編 — 精神科病院のケース — 医療チームの中での心理士の役割と立場を事例から考える
- 第 5 章 第2部 理論編 — 心理臨床における精神分析的実践 / 治療0期の『耕し』と『治水』 — 岩倉拓による理論整理。生物-心理-社会的視点、転移理解(T-P-O連結)、コンテイナー/コンテインド概念を体系的に解説する
- 第 6 章 第2部 理論編 — 出会いの体験とそのアセスメント — 湊真季子による力動的アセスメントの実際。見立てを言語化し伝えるプロセスを丁寧に追える
- 第 7 章 第2部 理論編 — 精神分析的心理療法と治療構造論的理解 — 中村留貴子による治療構造の諸側面と転移の取り扱いを論じる章。理論的基盤を固めたい読者に
- 第 8 章 精神分析とマネジメント — 監修者として(藤山直樹) — 精神分析と心理臨床の関係を俯瞰する論考。精神分析的自己の内在化というキャリア上の問いを提示する
- 第 9 章 コラム — 初心の臨床家に伝えたいこと — 狩野力八郎・成田善弘・平井正三・松木邦裕・乾吉佑ら著名な先達5名によるコラム集。読了後に再読すると気づきが深まる
ハイライト
- 時代や社会の変遷に関係なく信頼される心理士であり続けるのに必要なことは何か。一つは一貫した志向性と考えを持つこと、二つ目はそこから自分なりの応用性を身につけること。(著者が本書全体の編集意図を最も端的に言い表している箇所であり、購読動機との合致を確認しやすい)
- 事例編では、クリニック、学校、児童養護施設、精神科病院での実際の事例を基に4つの架空の事例検討会を再現し、理論を基盤としながら同時に自らのこころを使って考えるという実践感覚を生き生きと伝える。(架空事例でありながら実践感覚を伝えるという本書の構成上の特徴が表れており、他の事例集との差別化が分かる)
編集メモ
Qiita 言及 0件 / Rakuten ランキング情報なし。外部シグナルは確認できていないが、岩崎学術出版社の臨床心理専門書として精神分析系実践者に向けた書評を編集者視点で付与した
読む前に押さえておきたいこと
- 精神分析の基本概念(転移・逆転移・防衛機制)についての初歩的な知識
- 自身の職域でのケース担当経験が1件以上あると事例の臨場感を追いやすい
- スーパーバイズや事例検討会への参加経験があれば理解がより深まる
学習のコツ
- 第1部(事例編)を先に全部読み、自分なりの見立てをメモしてから第2部(理論編)を読むと、理論と実践の往復が体感しやすい
- 巻末コラムの5名は著名な精神分析家・臨床家であるため、コラムで挙げられる推薦書を次のステップとして手元に用意しておくと学習曲線が滑らかになる
- 4つの事例検討会は職域が異なるが、共通して精神分析理論がどう働くかを追う視点で読むと横断的な学習効果が高まる
- 自分の主な職域(例:学校)に対応するケースを最初に精読し、残り3ケースは俯瞰的に読む読み方も選択肢になる
出版社による内容紹介
●心理士がさまざまな職域で日々働いていくうえで、そこで生じた事象を自分なりに考え、見えなかった人間関係や人間のこころを可視化(アセスメント)し、見えるようになった問題を関係者と共有し取り扱っていくこと(マネジメント)が必要とされる。著者らは本書で一貫して精神分析理論を基盤にさまざまな事象を考え、多様な臨床現場でそれを応用していく方法を考える。事例編では、クリニック、学校、児童養護施設、精神科病院での実際の事例を基に4つの架空の事例検討会を再現し、理論を基盤としながら同時に自らのこころを使って考えるという実践感覚を生き生きと伝える。 『本書で伝えたいこと』 この本で伝えたいことは、時代や社会の変遷に関係なく信頼される心理士であり続けるのに必要なことは何か、です。 1つは、一貫した志向性と考えを持つことです。なぜなら今も昔も人がこころの中で体験すること、こころの動きの本質的なありようは変わらないからです。事例編で示したように、この本の中で私たちは一貫して精神分析の理論に基盤を置いてさまざまな事象を考えていく姿勢を維持しています。 2つ目は、そこから自分なりの応用性を身につけることです。本書では4つの職場を取り上げましたが、心理士の職域は多岐にわたります。そうした多様な臨床現場でいかにそれを応用していくのか考える実践の姿勢です。(「おわりに」より) ●目次 監修者まえがき(中村留貴子) はじめに 第1部 事例編 1 心療内科クリニック内カウンセリングルームでのケース──事例発表者:20代半ば、臨床歴2年の女性臨床心理士 2 スクールカウンセラーのケース──事例発表者:20代半ば、臨床歴3年の女性臨床心理士 3 児童養護施設のケース──事例発表者:20代後半、臨床歴2年の男性臨床心理士 4 精神科病院のケース──事例発表者:20代後半、入職2年目の男性臨床心理士 第2部 理論編 1 心理臨床における精神分析的実践──治療0期の「耕し」と「治水」(岩倉 拓) I はじめに 臨床現場の問い/精神分析的臨床とは? II 精神分析を0期に生かすーー精神分析的臨床の方向感覚 生物ー心理ー社会的視点 転移の理解(T-P-O連結) 力動的認識 コンテイナー/コンテインド “具象と排出”→“象徴化・主体化”していく方向性 治療構造論的認識 発達論と発達課題 III 職場に入ったらーー0期の耕しと治水 2 出会いの体験とそのアセスメント(湊真季子) I はじめに II 力動的アセスメントとは III アセスメントにおいて心得ておくこと IV アセスメントの実際 V アセスメントとしてまとめあげるために考えること VI 言葉にすること=見立てを伝え、話し合う VII まとめ 3 精神分析的心理療法と治療構造論的理解(中村留貴子) I はじめに II 治療構造の諸側面 III 治療構造の心的機能 IV 転移の取り扱いをめぐって V おわりに 精神分析とマネジメント──監修者として(藤山直樹) I はじめに:精神分析、心理臨床、精神医療 II 精神分析と心理臨床は別物である III 精神分析と心理臨床の連携 IV 精神分析的実践と心理臨床・精神医療の差異 V 精神分析的自己ということ VI 精神分析自己の内在化に向けて VII おわりに:理不尽を超えて おわりに コラム─初心の臨床家に伝えたいこと、そしてお薦めの1冊 1 所詮人のやること、されど訓練は嘘をつかない(狩野力八郎) 2 まずどういうところに着眼するか(成田善弘) 3 アセスメントを通じた「見立て」の意義(平井正三) 4 毎回の心理療法面接はアセスメントでもある(松木邦裕) 5 推理力を養うこと(乾 吉佑)
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。