ISBN 9784802511193

正しいものを正しくつくる : プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について

正しいものを正しくつくる : プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について
著者
市谷聡啓
刊行
2019-06

概要

不確実性の高い現代において仮説検証型アジャイルでプロダクトの正しさを探索する

想定読者

アジャイル開発を導入済みだがプロダクトの方向性迷走に悩むエンジニア・プロダクトオーナー・開発リーダー

こんな人には向いていない

  • Scrum の基本イベントや用語をこれから学ぶ入門段階の読者には、前提知識として先に『アジャイルサムライ』や Scrum Guide を押さえることを推奨する
  • すでに仮説検証フレームワーク(リーンスタートアップ・デザインスプリント等)を実務で運用しているチームには既知の内容が多い
  • チームの内部プロセス改善(CI/CD・テスト自動化など)を主目的とする読者には直接的な指針が少ない

読了後にできるようになること

  • アジャイル開発が解決できる不確実性と解決できない不確実性を区別できる
  • 仮説キャンバスを用いてプロダクトの問いを構造化し、ユーザーインタビューとプロトタイプで段階的に検証できる
  • スクラムチームがプロダクトオーナーとの境界で直面する2度の壁を予測し、越境戦略を立てられる
  • スプリント強度を高める戦術と、チーム全体の共通理解を統べる作戦の違いを実務に適用できる
  • クライアントと共創関係を築きながら正しくないものを作り続けるリスクを最小化する考え方を身につける

本書のキー概念(章解説)

  • イントロダクション — 正しいものを正しく作れているか? — 全体の問い設定。読了後に再読すると著者の意図がより鮮明になる
  • 第 1 章 なぜプロダクトづくりがうまくいかないのか — 不確実性の種類と従来型開発の限界を整理する診断パート
  • 第 2 章 プロダクトをアジャイルにつくる — スクラムの基本を素早くおさらいしたい場合はここだけでも機能する
  • 第 3 章 不確実性への適応 — 余白の戦略とスプリント強度の戦術は実務への転用価値が高い
  • 第 4 章 アジャイル開発は2度失敗する — チームが直面する2つの壁の予測と対処が本書でもっとも独自性が高い章
  • 第 5 章 仮説検証型アジャイル開発 — 仮説キャンバス・ユーザーインタビュー・プロトタイプ検証の具体手順が揃う中核章
  • 第 6 章 ともにつくる — クライアントとの越境と共創をどう実現するかの総括。チームビルディング観点でも再読価値あり

ハイライト

  • プロダクト開発とは、誰も正解を持っていないものを、それでも形にすることにあり、その不確実性に対して立ち向かわなければいけない。(本書の核心命題がもっとも端的に表れている一節。プロダクトオーナー論の文脈で引用され、現場の共感を集めている)
  • 正しくないものをつくらない戦略をとることで、仮説を立て、検証し、チームとともに越境しながら前進していく。(著者の根幹思想を一文で表した箇所。防御的な言い回しが、むしろ実務者に刺さりやすい切り口になっている)

外部からの言及

  • エンジニアリングマネージャー・プロダクトマネージャー向けの体系的な読書ガイドで、ソフトウェア要求・仮説検証カテゴリの推薦書として位置づけられており、PM/PO志向の読者への到達経路として機能している(qiita)
  • SIer出身でアジャイルを習得した後に直面する問い、すなわちそもそも作るべきプロダクトは何かという観点を与える一冊として、実務者が継続的に推薦する傾向がある(qiita)
  • 著者・市谷聡啓が本書の仮説検証フレームワークを元にワークショップを実施した事例が記事化されており、書籍の内容が実際の現場訓練として再現可能であることが確認できる(qiita)

編集メモ

実在確認できたQiita言及記事8件(累計likes約2516)のうち、EM/PMガイドの大型記事(likes 2375)に推薦書として掲載済み。2019年出版ながら2024年時点でも推し本リストに継続登場しており、日本のアジャイル実践コミュニティでの参照持続性が高い。一方でqiita_article_count自体は10件未満のためessentialの閾値には届かない

読む前に押さえておきたいこと

  • スクラムの基本用語(スプリント・バックログ・レトロスペクティブ等)の概念を一度でも実務または学習で触れていること
  • Webサービスや業務システムの開発プロジェクトに何らかの形で携わった経験(ウォーターフォール・アジャイルを問わない)
  • プロダクトオーナーまたはそれに近い役割が何をする人なのかを大まかに把握していること

学習のコツ

  • 第5章(仮説検証型アジャイル開発)は本書の核心であり、初読時でも他章より時間をかけて読む価値がある。仮説キャンバスとユーザー行動フローのモデル化は、手元でテンプレートを作りながら読み進めると定着が早い
  • 第4章(アジャイル開発は2度失敗する)は、スクラムを導入して壁にぶつかったタイミングで読み返すと診断書として機能する。一度通読した後に現場の状況と突き合わせるとよい
  • 第2章のスクラム解説は概要レベルであるため、スクラム未経験者はScrum Guideか入門書を先に読んでからここに戻ることを勧める。逆に経験者は第2章を速読し、第3章以降に時間を割くと効率的
  • 第6章(ともにつくる)はクライアントや他職種との越境を扱うため、単独ではなくチームで読んで議論するとその価値が増す
出版社による内容紹介

従来のソフトウェア開発とは、「既に正解があり、記述された正解をそのまま形にする」というものづくりであり、いかに効率よく作るかという観点が主眼でした。そのため、正解の見えないなかで手探りで進んでいくことが必要となる不確実性の高い現代においては、うまく噛み合わない状況になっている開発現場も少なくありません。 本書では、共創を実現する具体的な⼿段としてのアジャイル開発を下敷きに、これからのソフトウェア開発/デジタルプロダクトづくりに、作り⼿(エンジニア、開発者、デザイナーなど)と、それを必要とする⼈(クライアント)がどのように臨むべきなのか、その考え方と行い方を具体的に提⽰する一冊です。 「正しいものを正しく作る(著者の掲げる理念)」とは、すなわち「正しくないものを作らない」戦略をとることであり、そのためには粘り強く「正しく作れているか?」と問いに置き換えながら探索的に作っていく必要があります。問いを立て、仮説を立て、チームととともに越境しながら前進していく。本書はそのための力強い手引きとなるでしょう。 イントロダクション 正しいものを正しく作れているか? 第1章 なぜプロダクトづくりがうまくいかないのか 1-1 なぜ、プロダクトづくりに苦戦し続けるのか? 1-2 多様性がプロダクトの不確実性を高める 1-3 不確実性とのこれまでの戦い方 1-4 アジャイル開発への期待と失望 第2章 プロダクトをアジャイルにつくる 2-1 アジャイル開発とは何か 2-2 スクラムとは何か 2-3 スクラムチーム 2-4 スクラムイベント 2-5 スクラムの成果物 2-6 自分たちのアジャイル開発とどう向き合うべきか 第3章 不確実性への適応 3-1 アジャイル開発で乗り越えられない不確実性 3-2 共通の軸を持つ 3-3 余白の戦略 3-4 スプリント強度を高める戦術 3-5 全体への共通理解を統べる作戦 第4章 アジャイル開発は2度失敗する 4-1 チームは2度、壁にぶつかる 4-2 プロダクトオーナーの果たすべき役割 4-3 チームとプロダクトオーナー間に横たわる2つの境界 第5章 仮説検証型アジャイル開発 5-1 自分たちの基準を作る 5-2 正しくないものを作らないための原則 5-3 仮説検証型アジャイル開発における価値探索 5-4 1回目のモデル化(仮説キャンバス) 5-5 1回目の検証(ユーザーインタビュー) 5-6 2回目のモデル化(ユーザー行動フローのモデル化) 5-7 2回目の検証(プロトタイプによる検証) 5-8 その他の検証手段 5-9 仮説検証の補足ー本質、実体、形態 第6章 ともにつくる 6-1 正しいものを正しく作る 6-2 視座、視野を越境する 6-3 チームとともに作る あとがき 参考文献/索引

この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。

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