ISBN 9784812222133
経済学史入門 : 経済学方法論からのアプローチ
概要
方法論の問いを軸に経済学の主要学派を歴史的に読み解く
想定読者
経済学を体系的に学び直したい学部上級生・大学院生、および各学派の思想的背景を理解したい実務家や研究者
こんな人には向いていない
- 経済学の基礎知識(ミクロ・マクロの初歩)がまだない読者には、議論の前提が追いにくい
- 特定の経済指標や計量手法を習得したい読者には本書の射程外となる
- 歴史的経緯より現代的政策論の実践を優先する読者には迂回感が生じる
読了後にできるようになること
- 古代・中世から近代への経済認識の変遷(ポリュビオス・アウグスティヌス・マキャヴェリ)を方法論の視座で整理できる
- スミス・リカードウ・マルクスそれぞれの分析枠組みの相違点を階級・価値・資本の概念から説明できる
- 限界革命からハイエク・ラッハマンに至る主観主義の展開と、その方法論上の含意を把握できる
- ドイツ歴史学派とイギリス歴史学派の問題意識の違いを踏まえ、歴史的方法と理論的方法の緊張関係を論じられる
- ケインズ以降のマクロ経済学がミクロ的基礎付けをどのように問い直してきたかを理解できる
- パラダイム・反証可能性・論理実証主義といった科学哲学の概念を経済学の議論に適用できる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 経済学誕生以前の経済認識の枠組み : ポリュビオス、アウグスティヌス、マキャヴェリ — 経済学という規律が成立する以前の思想的土台を押さえる導入章
- 第 2 章 経済秩序はいかに認識されるようになったのか : ケネー、チュルゴ、スミス — 重農主義からアダム・スミスへ、秩序概念の成立過程を追う
- 第 3 章 経済生活にとって人口と資源はどれほど基底的か : マルサス、シーニア — 人口論の方法論的位置付けを確認したい読者に価値が高い
- 第 4 章 資本主義の把握において階級概念はいかなる意味で本質的か : リカードウ、マルクス、スラッファ — スラッファ再評価まで含む章で、価値論の現代的含意を扱う
- 第 5 章 経済現象は主観的に説明すべきなのか : メンガー、ハイエク、ラッハマン — オーストリア学派内部の方法論論争に絞った希少な解説
- 第 6 章 経済学はなぜ歴史的でなければならないのか : ドイツとイギリスの歴史学派 — 方法論論争(Methodenstreit)の核心を理論 vs 歴史の観点から整理
- 第 7 章 経済活動にとって制度はいかなる意味で本質的か : ヴェブレン、ミッチェル、クラーク、タグウェル — 制度学派の多様な系譜を一章で概観できる
- 第 8 章 経済学が功利主義に基礎を置くのはいかなる意味においてか : ヒューム、ベンサム、ピグー — 厚生経済学の規範的基礎を問い直す章
- 第 9 章 経済学はどこまで数学的でなければならないのか : 数理経済学の先駆者たちと開拓者たち — 形式化の利得とコストを方法論的に評価する視点を提供
- 第 10 章 経済をマクロに捉えるということはどういうことか : マクロのミクロ的基礎付け論争 — IS-LM 以降の方法論的変遷の俯瞰として機能
- 第 11 章 ミクロ経済学は何を説明してきたのか : 限界革命から行動経済学まで 150 年 — 合理性・情報・行動の軸で主流ミクロの進化を整理
- 第 12 章 経済学にとって方法論はいかなる意味で重要か : スミス、ミル、ウェイトリ、20世紀科学哲学 — 全編を締める章として、科学哲学と経済学方法論を接続する
ハイライト
- 経済学における、さまざまな学派の成り立ちや展開、現代的意義を探究しながら、経済学の歴史を学ぶ、新たな視点からの経済学史テキスト。(本書の編集意図を最も端的に示す一文。通史ではなく方法論を軸に据えたテキストである点が他の経済学史書と差別化される)
編集メモ
Qiita 記事での言及なし、楽天ランキング情報なし。2023年4月刊の専門テキストで外部シグナルが現時点では確認できないため supplementary とする
読む前に押さえておきたいこと
- ミクロ・マクロ経済学の基礎的な概念(需要・供給・GDP 等)への基本的な馴染み
- 哲学・社会思想の入門知識があると科学哲学関連のコラムへの理解が深まる
学習のコツ
- 第12章(方法論の重要性)を先読みしてから第1章に戻ると、各章の問いの共通構造が把握しやすい
- 各章末のコラム(パラダイム・反証可能性・演繹と帰納など)は章本文の補強だけでなく、科学哲学入門としても単独で参照できる
- スミスを扱う第2章と第12章は著者が異なるため、両章を並読するとスミスの多面的な解釈が比較できる
- 一次文献リストが巻末に収録されているので、関心の深まった学派については原典に当たる経路として活用できる
出版社による内容紹介
アダム・スミスやミル、ケインズなど、経済学者たちは、どのような方法論を用いて経済学を研究してきたのでしょうか? 経済学における、さまざまな学派の成り立ちや展開、現代的意義を探究しながら、経済学の歴史を学ぶ、新たな視点からの経済学史テキスト。 まえがき 【第1部 経済学誕生への道程】 第1章 経済学誕生以前の経済認識の枠組みはいかなるものであったか ──ポリュビオス、アウグスティヌス、マキャヴェリ(中澤信彦) 第2章 経済秩序はいかに認識されるようになったのか ──ケネー、チュルゴ、スミス(松本哲人) 【第2部 経済学の確立・刷新・分岐】 第3章 経済生活にとって人口と資源はどれほど基底的か ──マルサス、シーニア(藤村哲史) 第4章 資本主義の把握において階級概念はいかなる意味で本質的か ──リカードウ、マルクス、スラッファ(久保 真・若松直幸) 第5章 経済現象は主観的に説明すべきなのか ──メンガー、ハイエク、ラッハマン(原谷直樹) 第6章 経済学はなぜ歴史的でなければならないのか ──ドイツとイギリスの歴史学派(佐々木憲介) 第7章 経済活動にとって制度はいかなる意味で本質的か ──ヴェブレン、ミッチェル、クラークおよびタグウェル(石田教子) 【第3部 現代経済学への展開】 第8章 経済学が功利主義に基礎を置くのはいかなる意味においてか ──ヒューム、ベンサム、ピグー(中井大介) 第9章 経済学はどこまで数学的でなければならないのか ──数理経済学の先駆者たちと開拓者たち(上宮智之) 第10章 経済をマクロに捉えるということはどういうことか ──マクロ経済学の「マクロ的」アプローチと「ミクロ的」アプローチ(廣瀬弘毅) 第11章 ミクロ経済学は何を説明してきたのか ──情報と合理性を巡る150年間、限界革命から行動経済学まで(江頭 進) 第12章 経済学にとって方法論はいかなる意味で重要か ──スミス、ミル、ウェイトリ、20世紀以降の科学哲学(只腰親和) コラム 1パラダイム(中澤信彦) 2自然法(松本哲人) 3反証可能性(中澤信彦) 4演繹と帰納(久保 真) 5社会主義経済計算論争(原谷直樹) 6因果関係(藤村哲史) 7経済人(石田教子) 8基数的効用と序数的効用(中井大介) 9経済学の呼称と定義(上宮智之) 10貨幣数量説(廣瀬弘毅) 11経済学の科学化(江頭 進) 12論理実証主義(久保 真) あとがき/一次文献リスト/人名索引・事項索引
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。