ISBN 9784822258504
プロセスデザインアプローチ : 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」
概要
プロジェクト固有の不確実性をプロセス設計で乗りこなす
想定読者
PMBOK などの体系は知っているが現場で機能させられていないと感じているITプロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダー
こんな人には向いていない
- PMBOKやアジャイルの概念をゼロから学びたい入門者(前提として一定のPM実務経験を想定した構成になっている)
- ツールや計画フォーマットの雛形集を求めている人(本書の主眼はプロセス設計の思考法であり、テンプレート集ではない)
- 大規模・多組織横断のプログラムマネジメントに特化した手法を求めている人(扱うスコープは単一プロジェクトの進め方が中心)
読了後にできるようになること
- プロジェクトが持つ不確実性の構造を3つのアプローチ(吸収・回避・低減)で分類し、状況に応じて選択できる
- プロセスフロー図(PFD)を使って、プロジェクト固有のプロセスを可視化・設計する手順を習得できる
- バッファマネジメントによる進捗把握の考え方を理解し、従来型の進捗管理が抱える構造的問題を説明できる
- KPTを軸にした振り返りで、経験を次のプロジェクトに転用できる形に昇華させる方法を身につけられる
- 計画の前提条件を明示化し、リスクをモニタリングする仕組みを設計できる
本書のキー概念(章解説)
- 第 1 章 なぜプロジェクトマネジメントは機能しないのか — 本書全体の問題設定。PMBOKを知っていても失敗が繰り返される構造的理由を整理しており、読む動機を固める章
- 第 2 章 プロジェクトマネジメントの全体像 — ガバナンス構築と5つのプロセス群の関係を俯瞰する。以降の章を読む地図として機能する
- 第 3 章 「企む」プロセス — プロジェクトの目的・共通認識・ライフサイクル設計を扱う。最上流で手を抜くと後工程に影響が連鎖する点を実感できる
- 第 4 章 「段取る」プロセス — PFD(プロセスフロー図)の記法と描き方を具体的に解説。本書の技法的な核心であり、最も手を動かす価値がある章
- 第 5 章 「視る」プロセス — バッファマネジメントとモニタリングシートの実践。進捗の遅れを早期に検知する設計思想が詳述されている
- 第 6 章 「振り返る」プロセス — KPTによる経験の資産化とプロセス改善。短いが、チームの学習能力を組織に蓄積する視点で実務価値が高い
ハイライト
- プロジェクトは「いつも初めて」であり「やってみないとわからない」という特徴を持っています。つまり、プロジェクトとは「不確実」なものなのです。(本書の問題意識の核心。PMBOKがあっても失敗がなくならない理由をこの一節が端的に表している)
- 異なる要求・環境でプロジェクトを成功に導くには、その要求・環境に応じた「固有のプロセス」を設計する必要があります。(プロセスデザインアプローチの本質的な主張。汎用フレームワークの適用ではなく固有設計が必要だという立場を明示している)
外部からの言及
- 要求分析・ドメインモデリングを扱う技術記事の参考文献として引用されており、要求定義フェーズのプロセス設計と親和性が高い書籍として参照されている(qiita)
編集メモ
Qiita で確認できた言及は参考文献リストへの引用1件(likes 3)のみ。Rakutenランキング情報なし。2017年刊行で継続的な新規言及は確認できていない。管理手法論としての独自性はあるが、外部シグナルからは補完的な位置付けが妥当
読む前に押さえておきたいこと
- ウォーターフォールまたはアジャイルいずれかの形式でプロジェクトメンバーとして参加した実務経験が1件以上あること
- WBS・マイルストーン・リスク管理といった基本的なPM用語の概念(PMBOK入門レベル)を把握していること
学習のコツ
- 第4章(「段取る」プロセス)のPFD記法は、実際に手元のプロジェクトでサンプルを描きながら読むと理解が定着しやすい。読了後に一度白紙から自分のプロジェクトのPFDを描いてみることを推奨する
- 第1章と第2章は前提整理に徹した章なので、PM経験が浅い場合は通読し、経験者は第3章から読み始めて戻ってきてもよい
- 第6章(振り返り)は分量が少ないが、チームでKPTを実施した経験がない場合は読後すぐに1回試すことで書かれている内容の解像度が変わる
- 本書の前版『プロジェクトマネジャーのためのプロセスデザイン入門』(2014年)との差分が大幅改訂とのことなので、旧版の読者は特に変更箇所を中心に読む価値がある
出版社による内容紹介
なぜプロジェクトの問題はなくならないのか? その理由は「不確実性」にあり システム開発で「プロジェクトマネジメント」は意識しない人はいないでしょう。 「PMBOK」という知識体系も整い、プロジェクトを取り巻く環境が整備されているのは間違いありません。 しかしながら、プロジェクトの問題はなくなってはいません。なぜなくならないのでしょうか? ベンダーの開発力や技術力が不足しているケースもあるでしょうが、もっと本質的な問題はプロジェクトの「進め方」にあります。 プロジェクトは「いつも初めて」であり「やってみないとわからない」という特徴を持っています。つまり、プロジェクトとは「不確実」なものなのです。 プロジェクトには「こう進めれば必ず成功する」という決まった進め方があるわけではありません。異なる要求・環境でプロジェクトを成功に導くには、その要求・環境に応じた「固有のプロセス」を設計する必要があります。 そうした考え方に基づいた方法を「プロセスデザインアプローチ」と呼びます。 本書にはその考え方から具体的な方法まで、第一人者が丁寧に解説しています。 ※本書は『プロジェクトマネジャーのためのプロセスデザイン入門』(2014年6月、日経BP社発行)を大幅改訂したものです。 ●第1章● なぜプロジェクトマネジメントは機能しないのか 1-1 プロジェクトの本質を知る 1-2 プロジェクトが持つ不確実性の姿 1-3 不確実性を乗りこなす3つのアプローチ ●第2章● プロジェクトマネジメントの全体像 2-1 プロジェクト成功の前提条件 2-2 プロジェクトのガバナンスを構築する 2-3 プロジェクトを構成する5つのプロセス群 ●第3章● 「企む」プロセス 3-1 プロジェクトの共通認識を確立する 3-2 プロジェクトの目的を理解する 3-3 大まかなアウトプットを定める 3-4 プロジェクトを定義する 3-5 プロジェクトライフサイクルを設計する 3-6 解決すべき課題を挙げる ●第4章● 「段取る」プロセス 4-1 「計画」は何のため?従来の「計画」の問題点 4-2 計画の「前提」とは 4-3 プロセス設計に必要な2つの思考回路 4-4 プロセスを設計するツール 4-5 PFD表記のルール 4-6 簡単なプロセスを設計してみる 4-7 PFDの描き方 4-8 リスクをモニタリングする ●第5章● 「視る」プロセス 5-1 進捗は管理できない、従来型進捗管理の問題点 5-2 不確実性の衝撃に備えるバッファマネジメント 5-3 モニタリングシートの活用 5-4 問題の発見と対処の考え方 ●第6章● 「振り返る」プロセス 6-1 振り返りで経験を資産にする 6-2 KPTによる振り返り 6-3 プロセスを改善する 6-4 これからのPM像
この本がどの学習段階で役立つかは、 関連する ロードマップ から確認できます。