杉並区を流れる 神田川・善福寺川・妙正寺川。 国土地理院の 数値標高モデル (DEM) を区内 34 km² に切り出して各セルから「水が流れていく方向」 を計算すると、 名前を一切教えていないのに、 この 3 本の川の位置がほぼ正しく浮かび上がる。
地形は嘘をつかない。 だから 国土交通省の洪水浸水想定区域 (ハザードマップ) 合計 6,186 ポリゴンもまた、 地形の上に静かに乗っている。
杉並区は東京 23 区の中では平坦な印象だが、 地理院 DEM5A(5 m メッシュ標高)で 100 か所×100 か所を測ると、 最高 55.7 m(区西部 善福寺方面)から最低 25.3 m(神田川流末・新宿区側)まで 30 m の落差 がある。
中央値 44.7 m、 p10 で 38.3 m。 標高 40 m 未満の「低地」 が区の南東部に帯状に広がっている。
杉並区を流れる名のある川は、 神田川・善福寺川・妙正寺川。 すべて 神田川水系。 世界中の地理データを市民が編集するオープン地図 OpenStreetMap (OSM) から抽出した区内の水路は 27 本、 うち名前つきは 6 本。 玉川上水 (暗渠含む 9 区間) もある。
善福寺池・妙正寺池が「源」 で、 東に向かって流れる。
数値標高モデル (DEM) の各セルから D8 (8 方向のうち最急降下方向に水を流す古典的アルゴリズム) で 600 ステップ追跡し、 その軌跡を 200 本トレースした。 地名・河川データは一切与えていない、 純粋に標高だけ。
ところが、 シミュレート流跡が描く形は、 実際の 神田川・善福寺川・妙正寺川とほぼ重なる。 地形が川の位置を決めている、 という当たり前の事実を、 データが目で見せてくれる。
流積 (同じ点を何本の流路が通るか) の最大は 364,076 セル (神田川下流)。
国土交通省 国土数値情報 (KSJ) の A31a「洪水浸水想定区域 (ハザードマップ)」 の 計画規模(30〜200 年に 1 度の雨)レベルで、 杉並区内に該当するのは 神田川流域 1,655 ポリゴン。 地形の低地と完全に一致する。
善福寺川・妙正寺川は神田川水系として一体管理されているため、 A31a の地物プロパティ上は「神田川」 に統合される。
想定最大規模 (年超過確率 1/1000 以下の極端な大雨) になると、 神田川流域だけで 4,457 ポリゴン が追加で浸水想定エリアに入る。
🌧 神田川 計画規模 1,655
🌊 神田川 想定最大 4,457
🌊 呑川 想定最大 63(区南端)
🌊 石神井川 想定最大 11(区北端)
合計 6,186 ポリゴン が杉並区域内の浸水想定。 これは区全体の面積の相当な割合になる。
杉並区の指定緊急避難場所は区内に 76 か所。 学校・公園・防災公園に重なる。
水害発生時に重要なのは、 避難所そのものが低地に立っていないか。 マップで赤い浸水想定エリアと避難場所の位置を重ねると、 いくつかの避難所は浸水想定域の縁にある。 台風や大雨の発災時、 ハザードマップを見てどの方向の避難所に向かうかの判断が必要だ。
「杉並区 ハザードマップ」「神田川 水位」 といった検索は、 台風シーズンの 9 月に大きく増える。 河川名の検索も同じ周期で立ち上がる。
地形は変わらない。 低地に住むということは、 毎年 9 月、 自分の家と 杉並区のハザードマップ を照らし合わせるということだ。
いちばん近い避難所と、 自分の家の標高。 同時に知っておく価値はある。
地形 (DEM5A) は国土地理院、 浸水想定 (A31a) は国土交通省、 行政境界 (N03) は国土数値情報、 河川 line は OSM。 すべて公開データから自前で計算しています。
waterway=* 27 segments (神田川・善福寺川・妙正寺川 ほか)(R<<16 | G<<8 | B) × 0.01 - 8388.608 で標高 [m] に。 `R=128 G=0 B=0` は nodata で NaN。contains_xy 一括判定 (2.3M ピクセル → 0.2 秒)。 国土地理院 標高タイル DEM5A (政府標準利用規約)
国土数値情報 A31a 洪水浸水想定区域 (CC BY 4.0)
国土数値情報 N03 行政区域 (CC BY 4.0)
OpenStreetMap waterway (ODbL, © OpenStreetMap contributors)
杉並区 オープンデータ (CC BY 4.0)